正体不明の恐怖
投稿者:錫 (1)
私は幼い時から自分には霊感があるとしか思えない体験をすることがありました。これはその中の体験の一つです。
小学生高学年のとき、私は自分の部屋で一人で眠っていました。するといつもの事でしたが夜中に目が覚め、何とも言えない嫌な感覚と共に金縛りが始まりました。慣れてはいても息の出来ない苦しさ、体にかかる重みと硬直で何とかその状態が解けるようになるまで我慢するしかありません。
何とか体を動かし金縛りが解けるとその日はいつもと違っていました。いつもなら金縛りが解けた安堵感があるのですが、その時は頭の中も心も途轍もない恐怖感で身を固くしたまま動けずにいました。一人で居てはいけないと言う感覚が走り隣の部屋で寝ている母の布団に潜り込みました。
母は少し驚いたようでしたが、怖い夢を見たという私の言葉を聞くとすぐにまた寝息をたてていました。
この恐怖は何なんだと心臓がドクドクと鳴り体全体に響くようでした。
すると階段のほうから音が聞こえてきました。ぎしっ、ぎしっ、とそれはとてもゆっくりと、しかし確実にい一歩一歩階段を誰かが上ってくる音です。
息を呑み近づく足音を聞いていると、ちょうど階段を登り切ったであろう場所で止まり、それ以上に音が近づいてくることはなくなりました。
私が自分の部屋にいなかったからいなくなってくれたんだと安心してため息をついた次の瞬間、私の背中の真後ろでぎしっと音が響きました。
やばいやばいやばい、安心しきった私は今までに経験したことのない恐怖に再び包まれました。身の毛がよだつとはこのことを言うのだと幼いながらに感じ体は冷や汗でびしょびしょになっていました。
どれだけの時間が流れたのかわからないほど途方もない恐怖のみが私を覆っていました。ほんの数十秒だったのか、数分だったのかもわかりませんがいつの間にか意識を失うように眠ってしまっていました。翌朝、母に昨晩の事を聞かれ重い口を開くと母は少し考え気のせいだねと微笑んでいました。
実際に体験した話なのでオチがなくてすみません。
しかしあれが何だったのかいまになってはなにもわかりません。
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