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グレートリングさんによるにまつわる怖い話の投稿です

心を忘れた科学には 第1話
短編 2026/10/29 22:48 66view

第一話 太陽の就職
俺の名前は太陽。おかしな名前だが太陽に間違いない。ちなみに俺は無職だ。太陽だから働く必要はないのだが、恋人の北風が無職の男とは結婚できないと言うので仕方なく就職することにした。
ハローワークに行って、俺が太陽と名乗ると係員は顔を歪めた。
『特技はありますか?』
俺の特技はギラギラ輝くことくらいだ。
『旅人に外套を脱がせることができる』
係員はますます顔を歪めた。
『そういう求人は求めてません』
自分でもそれが仕事でないと思う。
『どんな仕事でもいいのだが』
この際えり好みはしない。
『年齢職歴前歴不問と言う求人があるにはあります』
係員はパソコンのキーボードを操作して言った。
『しかしにこれまで何人も紹介したがすぐに辞めてしまいました』
よほど待遇が良くないのだろう。
『どんなブラック企業でも我慢する』
体力と根性なら自信がある。何しろ太陽だからだ。
俺はハローワークで預かった紹介状を持って求人先に向かった。
『ブラックマン研究所』
その会社は場末の雑居ビルにあった。
『見るからにうさん臭い』
俺は会社のドアを開けて室内に入った。
『待っていたよ』
部屋の中央には学校の理科室にあるような机があり、白衣を着た中年の男が掛けていた。他に人の気配はなかった
『ハローワークで紹介されました』
俺は紹介状を男に渡した。
『今度の男は何日もつかな?』
男は俺を一べつして言った。

『俺いや私は太陽です』
俺が太陽と名乗っても男は平然としていた。

『私はブラックマン博士。または影男と呼ばれている』
俺でなければこの時点で逃げ出していただろう。しかし俺は恐いも知らずの太陽だ。
『何の博士ですか?』
俺は物怖じせず尋ねた。
『昆虫学だ』
博士は机の下から長さと幅が30センチくらいの木箱を取り出した。木箱の中身はたくさんの昆虫の幼虫だった。
『ギドロンと名付けた』
幼虫は小指くらいの大きさだ。
『この昆虫の研究をするのが俺の仕事ですか?』
俺は博士に尋ねた。研究はあまり得意ではない。
『君の仕事はこれだ』
博士はピンセットで昆虫の一匹をつまむと机の上に置かれたビーカーの中の液体に浸した。
『ああっ』
ビーカーからは白い蒸気が立った。昆虫は液体の中で溶けて行く。
『塩酸だ。危ないから取り扱いに注意してくれ』
俺の仕事は木箱から不適格な幼虫を選んで処分することだった。処分するのは黒い縞模様のあるもので、それ以外は残す。
『ここにある木箱の処置が済んだころ、新しい木箱が届けられる。処理の終わった木箱はドライバーに渡してくれ』
博士はそれだけ言うと部屋を出て行った。聞きたいことはまだたくさんあるが、博士には質問を受け付けない雰囲気があった。
俺は太陽だから不眠不休も平気だが腹が減るのだけは困る。俺はスマホで恋人の北風に連絡した。
『私の本名は喜多村風子。北風は愛称だから間違えないでね』
彼女は紙袋いっぱいのホットドッグを持って訪ねて来た。
『貴方の仕事はこれなのね』
北風は興味深そうに木箱を覗きこんだ。以前から不思議な話に目がない女性だ。
『木箱のほとんどが白い幼虫のときもあれば、黒い縞がある幼虫が多い場合もある』
部屋にある木箱は30個くらいで、塩酸の瓶は鍵の掛かるキャビネットに入っていた。
『締め切りはいつまでなの?』
『聴いていない。ドライバーが回収に来るとだけ言っていた』
『ふーん』
北風は何か思案顔だ。
『オスとメスを分けているのかしら?』

そんな事は考えてもなかった。
『ヒヨコのオスとメスを分ける話を聞いたことあるわ』
雌鶏なら玉子を産むが、昆虫のオスメスに何の需要があるのか?
『私も博士に会ってみたい』
モノ好きな女性もいたものだ。今度博士が現れたら連絡すると約束した。
しかし次に会社に現れたのは博士でなくドライバーだった。
台車に新しい木箱を乗せている。
『ご注文の品です』
ドライバーは実直そうな中年男だ。博士と違って怪しげな雰囲気はない。
『運転手 大崎浩二』
ドライバーは名刺を差し出した。名前も平凡である。俺の名前と比べたらである。
『木箱の処理は終わっている』
黒い幼虫を間引きした木箱は蓋をしてある。空気穴は空いているがエサは入れてない。
ドライバーは木箱の数を教えると伝票を出した。
『サインをお願いします』
『昆虫なんて何に使うのか?』
俺はサインしながら尋ねた。
『私はただの運転手だからわかりません』
ドライバーは台車を押して帰って行った。次の回収日は1週間後だと言う。
俺は新しい木箱から黒い幼虫をつまむと塩酸のビーカーに浸ける仕事を続けた。何の変化もない日常が続くと想像力だけがたくましくなる。
『この昆虫は何に使うものだろう』
昆虫の写真をスマホに載せてみたたがどこにもヒットしない。ギドロンで検索しても昔のアニメが出て来るだけだ。
『少なくとも有名ではないようだな』
そしてついに俺の疑問が解ける日が来た。大崎さんは毎週木箱を届けたが、あるとき空の台車を押して現れたのだ。
『今回新しい木箱はありません』
大崎さんは処理済みの木箱を台車に乗せた。
『俺の仕事は終わりなのか?』
またハローワークに通うことになるのだろうか?
『太陽さんを現場に連れて来るように言われてます』
俺には拒否する選択はないようだ。俺は大崎さんのトラックに同乗した。

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コメント(1)
  • 久しぶりに投稿します。
    タイトルは昔観たアニメ『ミクロイドS』の主題歌の歌詞からのパクリです。
    全4話の予定です。

    2026/10/29/23:00

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