今から12年前、中学3年生の夏の出来事です。
その日は隣町で大きな花火大会があり、僕と友人たちあわせて男4人で遊びに行っていました。
大会が終わり、時刻は夜の22時を過ぎた頃です。自転車で夜道を走りながら「まだ帰りたくないな」なんて話していると、仲間の1人が「こんなところに神社がある」と声を上げました。
見ると、茂みの奥へ長い石段が伸びていました。
僕たちはちょっとしたノリで自転車を下に停め、肝試し半分でその階段を登り始めました。
登りきった境内に灯りはひとつもなく、人っ子ひとりいません。
不気味な空気は漂っていましたが、男4人もいれば怖さよりも変にテンションが上がり、楽しさが勝っていました。とはいえ、特に何があるわけでもなく、すぐに飽きて引き返すことにしました。
スマホのライトで足元を照らしながら階段を下りていると、向かいの登り側から、僕たちと同じくらいの人数の気配が上がってくるのが分かりました。
「自分たちみたいな奴らが他にもいるんだな」
最初はそれくらいにしか思っていませんでした。
しかし、距離が近づくにつれて違和感を覚えました。
僕たちはスマホの光で足元を照らしながら歩いています。
すれ違うほど接近すれば、その光に照らされて、全貌までは見えずとも相手の足元やシルエットくらいはぼんやり見えてくるはずです。
それなのに、どれだけ近づいても何も見えない。
目の前にはただ、真っ暗な闇があるだけなんです。
「あ、やばい」
そう察したまさにその瞬間でした。
闇の向こうから、複数の声が一斉に響きました。
「ねえ? 絶対見えてるよね? 見えてるよね?」
叫びそうになりました。僕以外の3人にも、同じ気配と声が聴こえているようです。
僕たち4人は視線を意地でも足元に固定し、必死で「聞こえていない・気づいていないフリ」を決め込んで、無理やり雑談続けながら通り過ぎました。
階段を降りきるなり、脇目も振らず自転車に飛び乗り、全力でその場を後にしました。
これが、僕が人生で唯一体験した、不可解な体験です。
























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