霊能力者なんてほとんど偽物だ。
そう言えるくらいには本物に出会えない業界――それが霊能界隈だ。
わたしがあまり外に出ないのも影響しているかもしれないが。
先日、はるか昔に会ったことのある偽物霊能力者が首を吊ったと聞かされた。
そして、ガラにもなく、彼女と出会った時のことを思い出してしまった。
あれはどこかの局の心霊番組の収録だった。
何処の馬の骨ともしれないわたしとは違い、彼女はアイドル崩れのその容姿で絶大な知名度と人気を誇っていた――霊能界隈では。
そして、わたしは彼女に何かあった時の代役として呼ばれていた。
現場は古い日本家屋。
その昔、後継ぎを流産した女が井戸に身を投げ、それ以降、赤子を探す女の幽霊が出るというものだった。
撮影が始まると、私は目を疑った。
彼女が井戸に近づくと、彼女は涙を流し始め「辛かったよね、生まれたかったよね」と井戸の脇に向かって話し始めた。
口ぶりからして水子に話しかけているのだろうが、水子がいるのはその視線の先ではなかった。
真横から女の顔を見上げていた。
内容だけは優しいその言葉に、その水子が何を思ったかは分からないが、彼女に這い寄って触れると、体の中に吸い込まれるように消えた。
入れ替わるように、怒りに顔を歪めた女の霊が彼女の背後に立っていた。
最初に聞かされていた女の幽霊だった。
撮影は滞りなく終わり、私は彼女に話しかけた。
「霊が取り憑いているから、早めに外した方がいい」と。
彼女は薄ら笑いを浮かべて「じゃあ、やってもらおうかな」なんて言いながら、カメラを回すようにディレクターにお願いしていた。
ディレクターも面白いものが撮れると思ったのか、ふたつ返事で準備を済ませた。
わたしはしゃがんで彼女の腹に「おい、ガキ、聞こえるか」と水子に向けて話しかけたのだが、突然彼女に突き飛ばされた。
「妊娠なんかしてねぇよ! ふざけんな!」
彼女はなにか勘違いをしていたようだが、あの頃のわたしは世間知らずの小娘だったから、「人が親切でやってんのに、なんだその態度は」と口論になった。
当然、そんな映像は使われなかったし、その後に彼女に会うこともなかった。
帰り際に彼女を見ると、女の霊の手が彼女の首を掴んでいた。
「首に気をつけろ」と伝えてやったのに、ギャーギャー騒いでスタッフに止められていた。わたしも別の車に押し込まれた。
彼女はあの後、流産を繰り返して子宝に恵まれなかった。それが原因で夫婦仲が徐々に壊れ、それを理由に首を吊ったと聞かされたが――あの女の霊の仕業じゃないかと、わたしは思っている。
こんなことを思い出すなんて、実はわたしは彼女に会いたいと思っていたのかもしれない。
――まだ謝罪を聞いてないからな。
























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