6年前、まだコロナが流行ってた時期の話。
うちの会社もリモートワークに切り替わっていたが、どうしても現地に行かないといけない案件があり、飛行機で出張に行くことになった。
特にトラブルもなく仕事は終わり、帰りの便に乗るため空港へ向かった。
保安検査を終え、搭乗口へ向かう途中でアナウンスが入る。
機材トラブルで出発が1時間遅れるらしい。
疲れていたし、ちょうどいいと思って搭乗口前の椅子に腰を下ろした。
最終便だった。
他の搭乗口にはほとんど人がいない。
しばらくして、タバコが吸いたくなった。
俺は席のすぐ後ろにあった喫煙所に入った。
中には5人いた。
仲の良さそうな中年の夫婦。
眼鏡のサラリーマン。
電話をしている、金持ちそうな男。
リュックを前に抱えた女。
狭い喫煙所で、俺は入口すぐの壁に寄りかかるように座り込んだ。
タバコに火をつける。
当時俺はかなりのヘビースモーカーでそのときも1本目を吸い終え、2本目に火をつけようとしていた。
そのときある違和感に気がついた。
さっきまで話していた夫婦の声がしない。
電話をしていた男の声も聞こえない。
それに、誰もタバコを吸っていない。
手には持っているのに、ただ火のついたまま、垂らしているだけだった。
全員のタバコの灰がそのまま長く伸びて、重さに耐えきれず床に落ちている。
それに、俺は2本目に火をつけたとこだと言うのに、誰も一歩も動いていない。
その事実に気づいた瞬間、背中が冷たくなった。
なんだ、これ。
20秒くらい、何度か目線を上げかけてはやめた。
見たくない。
























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