叔母は昔から、誰もいない方向に急に振り向いては首を傾げたり、誰も喋っていない時に「え?」と聞き返すことがありました。普段から無愛想でトラブルメーカーな叔母について、親族の間ではこっそり「おばあさんは昔からちょっと精神がね…」なんて噂をしていました。
そんな中で、叔母は私のことだけは特にかわいがってくれており、2人きりの時には打って変わって明るい口調で世間話をしてくれました。私の親を含めた他の親族に対して無愛想なのは、以前親族内で金銭トラブルがあったせいらしく、
「あの人たちはすっかり忘れているみたいだけどね…」と愚痴をこぼされたことがあります。
ある日、叔母の家で2人でテレビを見ていると、テレビの中で霊能力者が、幽霊の声がどのように聴こえるかを説明していました。内容は忘れてしまいましたが、聞いていた叔母がボソッと、
「この人は嘘つきだ。本当は霊能力ないね」と呟きました。
どうしてわかるのか尋ねると、叔母は「他の人には内緒だよ」と念を押した上で、
「私は昔から幽霊や神様の声が聞こえるんだ。声は頭に直接語りかけるように聞こえる。他の声にかぶさるように聞こえるから、幽霊が話しかけてくる間は、他の声が聞こえにくくて困る」と言っていました。
「喫茶店で隣の席の会話が気になって会話に集中できない、みたいな感じ?」と聞くと、
「もっと耳の近くというか、頭の奥で話しかけられるような…」とうまく説明できない様子でした。
それから暫くして、また2人でおしゃべりをしていた時のこと。私が買ったばかりの骨伝導イヤホンを叔母が試しにつけると、ハッとした表情を見せ、
「幽霊の声ってこんな感じ!耳の中から直接頭に声が入ってくるの!」と興奮しながら説明されました。
続けて,
「あなた以外の親戚が来るとね、こんな感じで幽霊の声が聞こえてくるのよ!『こいつらを殺せ!早くしろ!』って!」
私は曖昧に頷きながら、「ちょっと精神がなぁ」と思いました。
叔母はある年の正月に、親戚一同が集まる場で刃物を振り回して以来、施設に入っています。幸い死者は出ませんでした。怪我人はいっぱい出ました。
























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