俺の幼馴染である八潮という男には、霊感がある。
長い付き合いだが、それを知ったのはつい数年前のことだ。
それから今まで、オカルト好きな俺は、ちょいちょい八潮の厄介になることが遭った。
今から記す話は、八潮の能力を知って少しした頃に体験した話だ。
コロナのニュースが流れ始め、世間が少し騒がしくなったが、まだ百合子が密に厳しくなかった頃だから…今から5〜6年ほど前になるのか。
体験自体は5〜6年前になるが、最近になって厭なオチがついたので、文書にした次第。
長くなるので、暇つぶしにでも読んでくれると嬉しい。
当時、俺には麻衣という彼女がいた。
今のオタク気質で穏やかな彼女とは正反対で、派手で遊び好き、酒好きな女だった。
八潮の霊感について、あまり軽薄に口外するなと本人から止められていたにも関わらず、当時彼女にベタ惚れだった俺は、ペラペラと八潮について話してしまった。
もちろん、バカにするとか面白がるとかではなく、そんなすげぇ能力のある幼馴染を自慢するつもりで…だ。
麻衣は大して興味もないようで、俺の話を適当に受け流していたが。
それからしばらくして、俺と八潮が飲んでいるところに、麻衣が途中参加するという形で、3人で飲む機会が訪れた。
八潮と麻衣には面識もあり、大学時代の飲み仲間の一人でもあったため、3人で楽しく飲んだ。
そんな中、急に麻衣が「八潮ってさぁ、霊感あるんだよね?」と切り出す。
瞬間、八潮がジョッキを口元に運ぶ手を止めて、俺をギロリと睨んだ。
俺は麻衣がちゃっかり話を聞いていたことにも驚いたが、すぐに八潮に向き直り、(ごめん!)と手を合わせて申し訳なさそうな顔を作る。
八潮はクソでかいため息とともに、「だからお前は信用できねぇんだよ」と呆れたような声を吐き出した。
ひとしきり八潮に謝って、飲み代を奢ることで許してもらえた辺りで、麻衣が話を戻す。
「実はさ、あたしの友達に変わった子がいてさ。その子も霊感があるらしいんだよね。八潮に会ってみたいって言ってんだけど…。近くに来てるみたいだし、ここに呼んでもいい?…かなりぶっ飛んでるけど、見た目は可愛いよ」
八潮が半年前に彼女と別れたことを知っていた俺は、是非会ってみるべきだと提言したが、八潮は浮かない顔をして渋っている。
どうやら、「霊感がある」という部分が引っかかっているようだ。
それでもなんとか、一緒に飲むだけなら…ということで、麻衣の友人…エリナを呼び出すことにした。
そこから30分ほどで居酒屋に現れたエリナは、目鼻立ちのはっきりした綺麗な顔で、亜麻色のウェーブがかったロングヘアをツインテールにしており、服装もハイネックのニット、ツイードのミニスカート…という流行りの出で立ちだった。
喩えるなら、ゴスファッションじゃないデスノートのミサミサ。
なるほど…確かに可愛い。
「こんばんはぁ。エリナです〜。マイちゃん呼んでくれてありがとぉ〜」
鼻にかかったようなアニメ声。
こちらも軽く挨拶を返しながらも、麻衣とやりとりをしている彼女の様子を見て、きっとこういうタイプが好きな男にはたまらんのだろうなぁ…などとぼんやりと思った。
が、残念だけど八潮のタイプではないな…と、ほくそ笑みながら八潮を見る。
























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