最後のお別れ

私の実家は昔、沢山の動物を飼っていました。昔なので今のような犬は室内飼いではなく外で飼っていたり、猫やモルモットや亀やインコなど様々な種類がいました。
そんな動物の中で育った私ですが、とても不思議な事が一度だけあったんです。スピリチュアルな体験もしたこともないし、興味もないし、何より信じていなかったんです。その時までは。

ある時、一匹の猫がいなくなりました。特別にかわいがっていたわけではなかったのですが、でもいなくなったという事で探したり貼り紙をしたりして日々を過ごしていたんです。
ある日、近所で猫がひかれていると誰かが言っていたのでもしかしたら、家の猫かもしれないと思い母と確認しに行った所、やはりうちの猫で亡骸を抱えて帰りお墓を作りました。
その日の夜の事です。夜中の２時ころでしょうか、寝ていたのですが急に体が動かなくなりました。金縛りになったことはなかったのですが、別に怖いと感じる事もなくしていると、布団の周りを猫が歩き回る音が聞こえます。
そして、布団の上にあがってきて、その猫がよくやっていた布団ふみふみをやりはじめたんです。その時に、もしかしたら猫が最後に挨拶に来たのかなと、律儀な猫だったんだなと思っていると、ふと体が軽くなる感覚があり、猫の気配も消えていました。
その次の日の朝、昨晩の出来事を家族に話すと、なんと母も昨晩私と同じような体験をしていたんです。
母の所に来て、同じように布団の周りを歩き回り、布団ふみふみをしてから、母のそばで丸くなるような感覚があったそうです。母も同じように最後に挨拶をしにきてくれたんだなと思ったそうです。

交通事故に合ってしまったけれど、ちゃんとお墓をつくってあげられてよかったなと思いましたし、今までスピリチュアルを信じてはいなかったのですが、そういう想いと言うのはきちんと伝わるようになっているのだなと、これからの人生を想ういいきっかけになりました。