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呪い・祟り

大鷹恵さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

死を招くマトリョーシカ
短編 2025/10/10 23:55 660view

「お主。森下タクオという男を知らないか?」
初老の男がいきなり、大学のオカルトサークルの部室に上がり込んで僕に尋ねてきた。
「いや、知りませんが」
「そうか。失礼したな」
「あ、待って下さい。おじいさん、何者ですか?」
「わしか?森下タクオに用があるもんじゃよ」
「いや、そういう・・・」
「それじゃ失礼した」
初老の男はスタスタと去っていった。僕は呆然とした。何なんだ、あの爺さん・・・。僕がそんなことを考えている時に蓮とジェーン・メリーが部室に入ってきた。
「あれ?恵くん来ていたんだ?・・・テーブルに置かれている物は何?」
「ん?」
僕はテーブルに置かれていた箱に気付いた。おそらく、あの初老の男の忘れ物何だろうか?いや、まてよ・・・。初老の男が部室に来た時、箱を持っていなかったのだ。それはさておき、僕たちは箱を開けて中身を確認する。
「これはマトリョーシカじゃないか」

「あーあ、残念だわ。マトリョーシカじゃなくて、こけしなら呪物の可能性があるから私たちの活動になっていたのに」
「おいおい、蓮。マトリョーシカでも呪物の可能性が多いにあるんだよ。こけし=呪物の先入観が強いな、キミは」
メリーはマトリョーシカをじぃーと見ていた。
「どうしたのよ?メリー」
蓮はメリーに問いかける。そして、メリーは
「このマトリョーシカ、どっかで見覚えがある」
とポツリとつぶやく。僕は
「メリー。何か心当たりがあるのか?」
と聞く。メリーは何かを思い出したようだった。
「あ!思い出した・・・。このマトリョーシカ、昔、近所の公園に住んでいたストリートチルドレンの黒人少女が持ち歩いていたものだわ」
「それはどういう事なんだ」
「そのストリートチルドレンの黒人少女なんだけど、ある日、公園で首つり死体で見つかったのよ。少女の持っていたマトリョーシカは無くなっていたんだ。ここから不可解なのは警察は「殺人もしくは自殺」ではなく「事故」であると結論づけていたのよ」
「首つり死体で見つかったなら、殺人の可能性が高いだろ。まてよ・・・まさか、あのお爺さんがストリートチルドレンの黒人少女を・・・。いや、まて、お爺さんはある人物を探していたな」

ここで蓮が僕の独り言に割って入る
「ねぇ恵くん。その爺さんが探していた人物って誰なのよ?」
「たしか、森下タクオという男だったな。それはともかく、このマトリョーシカを知り合いの古道具店の店主に見せた方がいいな。あの人なら何か知っているかもしれないし」
「それじゃあ!今から古道具店に行こう!」
こうして、僕たちは部室を後にして、古道具店に向かった。その道中、ゴミ捨て場に通りかかったとき、ゴミ収集の作業をしていた市の職員が悲鳴を上げた。
「死体だ!誰か警察呼んでくれ!」
僕はゴミ捨て場を見た時、絶句した。そこには先ほど、部室に現れた初老の男のバラバラ死体があったからだ。その時、赤色のプジョー・405の4ドアセダンが猛スピードで走ってきた、そのまま、プジョーはブレーキをかけず、ゴミ収集担当の職員を跳ね飛ばした。職員は地面にたたきつけられて、口から血がゴボコボている(どうやら、まだ生きているようだ)。そして、停車したプジョーから森下タクオが降りてきた。え、なんでこの男性が森下タクオだって分かったかって?それは僕が「人の名前が分かる」という特殊能力を持っているからだ。話はさておき、森下は瀕死の状態の職員をゴミ収集車に放り込む。ゴミ収集車のローラーで職員の体がグチャグチャにつぶされていく音が聞こえる。森下は僕らの方にニヤニヤ笑いながら近づいてきた。おそらく、森下の狙いは僕たちが持っている「マトリョーシカ」であろう。その時
、男の声が聞こえた。
「そこまでだ!」
ゴミ収集車の屋根から僕の知り合いの寺の住職が仁王立ちしていた。住職はゴミ収集車の屋根から飛び降りると、住職は森下の顔に軽く平手打ちをかました。平手打ちを食らった衝撃で鼻がもげ、顎が砕け、歯が飛び散る。
「イウイウイユxコウグオsgdグオsグオゴウyhdvyrdf!!!???」
森下は謎の悲鳴を上げ、糞尿をぶちまける。住職は森下の後頭部を拳骨を叩き込む。後頭部を殴られた衝撃で森下の眼球が飛び出る。
「パオポアオポピピピプイウッペペポピプパパパ!!!?????」
森下は日本語すら怪しい言葉を上げながら、転げまわった。住職は森下をそこに停車していたゴミ収集車に放り込んだ。

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