蝉の鳴き声も盛りの夏
中学生のMさんは、檀家のお寺の習字教室に通っていた
ある夏休み、そのお寺で習字を習っていて
何気なくふと開け放たれた障子の向こうを見た
目に入ったのは、海に向かって延々と続く丘陵と
そこに広がっている墓地であった
その中に、一際目立つ大きな石碑が見える
Mさんの代々のお墓がある場所だ
ところがその石碑のすぐそばに
長い赤い棒が立っていて、そのてっぺんに花が咲いている
(ちょっと奇妙なものがあるなぁ)っとよく見ると
それは一本の鶏頭の花だった
(鶏頭って一本だけで咲くものだったっけ?)
っとMさんはその時思った
その三日後、Mさんのお父さんが急死した
もともと酒癖が悪く、それが原因であったという
お葬式が終わって、納骨するために代々の墓に来た
・・・・・鶏頭の花がない
それは抜き取られたものでもない・・・
敷地には白い玉砂利が綺麗に敷かれているので
抜いたのならその跡が残っているはずである
(あの時見た鶏頭は、何かの見間違いだったのかなぁ?)
っとMさんは首をかしげた
それから数日後、またお寺で習字を習っているとき
ふと墓地を見た・・・
ゾッと、全身に鳥肌がたった・・・
あの時とまったく同じ場所に
一本の赤い長い鶏頭の花が咲いていたのだ
さすがにこの時は、お母さんに
「ねぇ、うち、近々誰か死ぬかもしれないよ」と言った
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