今から数十年前でしょうか・・・
大阪南の千日前のデパートが火災によって
大勢の犠牲者を出したという事件がありました
あの大火災の後、いろんな噂が立ちました
死んだはずのお得意さんが屋台のラーメン屋に入って来るだとか
焼け跡に店員がいてしきりに真夜中にお辞儀していたとか
あちこちでそんな噂が立ちました
どれも噂の類だったんですけど
わたしの知り合いのFさんというタクシーの運転手さんから
「わしの実体験なんやけどな・・・」と、こんな話しを聞かされました・・・・
その百貨店が燃えて間もない頃
焼け跡にショッピングセンターを新しく建てるため工事が始まった
そのために今まで表にあったタクシー乗り場が裏側に移転したそうだ
その日もたくさんのタクシーが列を作って並んでいた
Fさんもそのタクシーの列の中でお客を待っていた
Fさんの一台前の車は同僚の車だった
見るとその車は誰もいないのにドアを開け
またドアをバタンと閉めた・・・
そしてメーターを倒すと走り出したという
Fさんは「なんやあいつ、どないしたんやろ?」
そう思ったそうである
仕事が終わって会社に戻ってみると
社内中が大騒ぎになっていた・・・・
何ごとかと思い運転手達が集まっているところへ行ってみると
ソファーに頭を抱え真っ青になっている運転手がいた
それは先ほどの誰も乗せずに走って行ったあの運転手だった
「Fさん、こいつ千日前でお化け乗したんやと」
周りの運転手がそう言って教えてくれた
彼は千日前で若い母親と幼稚園児くらいの子供を乗せて走り出したらしい
しかし、ふっと気がつくと途中で消えていなくなったのだという























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