夢に会いに来る
投稿者:みなみなさん (1)
うちの母は見えないものが見えるようだ。
でも普段へんな事を言い出すことはないし、体験談を自ら話すこともあまりない。
昔、若い頃はよく金縛りにあっていて苦しんでいたらしいが、霊感が全くない父と結婚してから金縛りには合わなくなった、だからお父さんと結婚して良かったわ~なんて話しは聞いた事がある。
ちなみに自分は父に似て全く霊感がない。
ある時、父方の祖父が亡くなった。
人望が厚く、聡い人で設計関係の仕事なんかしていて、日曜大工が得意だった。よいじいちゃんだったので自分もとても悲しかったことを覚えている。
父は単身赴任をしており、慌てて駆けつけたがもう手遅れだった。
お葬式が終わって、なんやかんやバタバタしていたが、一週間も経てば日常が戻っていた。
父も単身赴任先に戻り、母と二人の日々。
いつものように母が夕飯を作るためにキッチンにいた時の事だ。自分はリビングでテレビを見ていた。
「痛い!」
突然、母が大きな声を出した。
びっくりしてキッチンに向かうと
「足踏まないで!!!」
誰かに向かって話している。
「ごめんね、大丈夫」
自分に気付いた母が、おもむろに語り出した。
本当は色々なものが見えていたりするけど、怖がらせないように話さないようにしていた。
今、おじいちゃんがうちに来ている。と。
「おじいちゃん、〇〇さん(父)は単身赴任だから次の日曜日にならないと帰ってこないよ」
虚空に向かって母は話しかけた。
「わかってくれたらいいんだけど。お父さんに会いたいみたいね。」
単身赴任先から父が帰ってきた時、母は祖父の話しをしなかった。自分もそんなもんなのかなって黙っていた。
翌朝、父は起きてくるなり、親父の夢を見た、と言い出した。
「親父が枕元に立っていて、嬉しくてさ、ガバッて起き上がって話しかけたんだけど、なんにも言わないんだよ。
そしたら手招きされて連れて行かれた場所が、実家の物置で。棚の一番上にある木箱を指さして、おまえにやるって言われた。」
休みだった事もあり、父と自分はすぐに祖父の家へと向かった。
本当にその木箱はあるのか?
自分はその物置を開けた事はない。父も、独立してからは中の状況がわからないらしい。
車で向かう途中、自分は不謹慎ながらにワクワクしてしまった。
素敵な御話ですね。心が温かくなりました。