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呪い・祟り

yukiさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

僕はこれから『呪われた撮影現場』を実況することになる
長編 2025/05/16 15:36 12,630view
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ボクは知りたい。
本当の恐怖というやつを。

恐怖とは。
それは、人間なら誰しもが持つ感情であり、同時に生きるのに必要不可欠なものでもある。
現実、もしくは想像上の危険。喜ばしくないリスクに対する強い生物学的な感覚。
人は、リスク回避の為に恐怖という感情を磨き上げて、知的生物として進化してきたのかもしれない。
だが、進化の果てに、文明社会を築き、命を脅かすリスクを排除し続け、文化に守られた我らには、根源的な恐怖の感情を体感する事は稀である。
だから、我々文明人は、時として、命の関わらない範囲で、意図的に恐怖の感覚…恐怖が隣り合わせにある状態、いわゆる、スリルを求める。
我々は、恐怖を感じる事で、自らの身が安全圏にある事を自覚し、安堵と我が身の幸せを享受しているとも言える。
テレビの中に映る他人の国の戦争で血を流す不幸な人々を見る事で、我々は安寧を感じる。
人間とは、そんな罪深い生物なのかもしれない。

だから、我々文明人は、遥か古典の時代から、恐怖の物語を紡ぎ続けてきた。

神話の中の悪魔や災厄。
古い書物に伝わる妖怪。
映画の中のモンスター。
アニメの中の殺人鬼。
ゲームの中の死霊の群。
恐怖の体験談。怖い話。都市伝説。
我々は、数多くの恐怖の物語を綴ってきた。

だが、所詮それは空想の産物であり、実際に我が身を焦がしす程の犠牲を払わぬ恐怖など、所詮、対岸の火事。仮初めの感情だ。自身を危険に晒す時こそ、人の本性は現れる。

だから、ボクは知りたい。
今まで安穏と安寧を享受していた僕らが、真の恐怖を感じた時。
その身その命を失いかねない程の恐怖を感じた時。
ボクらはどうなってしまうのか。

それをボクは知りたい。



僕の住む××町の外れの林の中に、ある古びた屋敷がある。
三本の大きな尖塔が特徴の洋館風の屋敷だ。
立派な造りで、人が住まなくなって十年程経った今でも、朽ちる事なく建っている。
だが町の住人は、その屋敷には近づかない。なぜなら、『出る』からだ。
何が出るかというと…、そう。幽霊である。
窓から覗く顔や揺れる影が何度も目撃されており、屋敷に踏み入る者には祟られると言われている。
身近に本物の幽霊がでる場所がある。
怖いもの見たさで、僕はその屋敷と幽霊に興味を持っていた。

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