終電を逃して、仕方なく歩いて帰った夜のこと。
住宅街を抜ける裏道は薄暗くて、人通りもなかった。
でも――気配だけは、あった。
後ろから誰かがついてくる。
振り返っても誰もいない。
でも、靴音とは別に、草を踏む音がもうひとつ混じってる。
カサ……カサ……ずっと、距離を保って。
たまらず、コンビニに入って明るい場所で休んだ。
冷たいペットボトルで首を冷やしていたら、
ふと店員が、こちらを見ながら言った。
「さっきの人、外で待ってますけど……大丈夫ですか?」
ゾッとして外を見た。
でも、誰もいなかった。
「白い服の……女性の方、ですよね?」
無理やり笑って、家まで走った。
しばらく震えながら過ごして、シャワーを浴びて、ようやく落ち着いた。
ふと気づく。
脱いだ上着の背中――
手形が、ついていた。内側から。
その夜、眠れずにスマホを眺めていると通知が来た。
“フォトに新しい写真が追加されました”
見覚えのない、自撮りだった。
寝ている俺の後ろに、誰かが立っている。
そして――
画面の中の俺が、笑っている。
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