掻きむしる音
投稿者:アスタリスク (1)
短編
2024/10/29
11:43
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私がまだ小学生の頃。
その頃は冬のど真ん中で、受験勉強に追われていたのを覚えている。
その日は特に寒く、夜風で扉もカタカタと震えていた。
うちの家は古いマンションで、玄関の横にトイレがあった。
受験勉強をしていた私がトイレで用を済ませ、出ようとしたときだった。
カリカリカリカリ
なにか、コンクリートのようななにかを引っ掻く音が壁越しに聞こえた。
一瞬寒気を感じたが、風の音だと誤魔化そうとしていた。
カリカリカリカリカリカリカリカリ
音がだんだんと大きくなっていく気がした。
ビビり散らかした私は、もうトイレから出られなくなってしまった。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
トイレに篭っている間も音はなり続け、ノイローゼになりそうだった。
心臓は激しく鼓動し、鳥肌も立ち続けた。
カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ
もう泣きそうになって、気を失ったように寝てしまった。
次の日、トイレで目を覚ましたときは別の意味で冷や汗をかいた。
新聞を取ろうと思っておもむろに玄関を開けると、そこにはコンクリートの壁を引っ掻いたときに落ちたであろう、鉛筆の削りカスのようなものが廊下に散らばっていた。
(これは実話です)
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