【short_94】最悪な霊道
投稿者:kana (210)
新築の家に越したというのに、最悪である。庭に霊が現れるのである。
気にしなければ良い、庭なんか使わなきゃいいという人もいた。
いや、庭が欲しいからわざわざ一戸建てに越してきたというのに・・・。
さっそく除霊ができるという霊能者の方においで願った。
だがその霊能力者も、霊視を始めた途端「ひィッ!」と叫んで
自分には無理だと退散してしまった。
今度は神社の神主さんにお祓いをしていただこうと、一度下見に来ていただいた。
神主さんいわく、ここはただの霊道ではなく、その霊道を渡ってくる霊たちを
襲って喰らう狂暴な霊が巣食っている・・・という。
まるで水を飲みに集まる動物たちを狙うワニのように、ひっそりと隠れ、近づいてきた霊に襲い掛かり、かじりつき、むさぼり喰うのだと。それは餓鬼か、亡者か・・・
「こんなところに住んでいては、恐ろしい事にしかなりませんよ」と忠告を受けた。
「あ、あのぅ・・・それでお祓いはしていただけるので??」
「いいえ、私の力ではとても太刀打ちできません。今回はご辞退させていただきます」
仕方なく、次に霊能力があるというお寺のお坊さんに来ていただいた。
するとイキナリこんなことを言い始めた。
「あのぅ、失礼な言い方かもしれませんけど、私ココに来るの2回目なんですよ」
「えっ?だってこの家、まだ新築なんですよ。いったいいつ来られたんです?」
「3年ほど前ですかね、まだ建て替えられる前のお家で、そこのご主人さんがどうかされましてね、家族全員皆殺しですわ・・・その弔いに、一度来させていただきました。・・・そうですか、新築されたんですね。そうですね、そうでもしないと、あの血の跡は消せないですもんね」
「で・・・でっ、除霊はしていただけるんで??」
「いえ・・・このままだと、ワタシ、もう一度お弔いにあがることになりそうですわ」
「そ、そんなぁ~~~~・・・」
最後の一言で怪談から落語になった(笑)