古賀様と【忌蛇】
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/03/10
12:21
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私がまだ実家暮らしだった頃、家には【古賀様】という人がいました。
白髪を七三に分けたまじめそうな人で、いつも白装束姿をしていて白足袋を履いていました。
年齢は当時の父と同じくらいだったから40くらいだったでしょうか?
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実家はご先祖の代から受け継がれた二階建ての古い日本家屋で、古賀様の住んでいたのはその二階の一番奥にある仏間でした。
私の部屋も二階でしたから何度か、古賀様の部屋の中を見たことがあります。
8帖ほどの畳部屋で、正面奥まったところに豪華な祭壇があり1メートルはある黒光りする像が鎮座していました。
この像が見るからに不気味で、首から下は腰に布切れだけを巻いた裸の男の人の身体なんですが頭部は角を生やした獰猛な牡牛そのものなんです。
そしてその像の周りには色鮮やかな花々が飾られ、前に置かれた大皿には何故かネズミやカエルの死骸が供物として捧げられていました。
古賀様は朝昼晩と決まった時間にその薄暗い和室の祭壇の前に正座してなにやら意味不明な念仏を唱えていて、外で仕事らしいことをしているようではありませんでした。
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初めのうち私は何度となく、両親に古賀様のことを尋ねたことがあります。
古賀様って誰なの?
親戚か何か?
それとも、、、
何で僕らと一緒に暮らしているの?
この話は怖かったですか?
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古賀さまこそが((( ;゚Д゚)))
普通の一家がカルト宗教に落ちていく話です
─ねこじろう
解説ありがとございます。カルト宗教がらみのヒトコワ話ですが、心霊的な要素も加味されていて、不気味な怖さにゾクゾクしました。グロテスクなだけではなく、妙にエロティックな雰囲気を醸し出しているところも、カルト宗教らしいですね。一家が崩壊していく様、絶望的なラストに思わず声を出してしまいました。
古賀様の存在が最後まであやふやで不気味な感じを持っていただけたら、作品の目論見としては成功としました。
─ねこじろう