深夜のテレビショッピング【ハリウッドスーツ】
投稿者:ねこじろう (147)
東京都S区在住の榊原智子さん56歳の楽しみの一つは、海外の恋愛ドラマを観ることだ。
都内にある某商社の事務員として働く独身の彼女の日々は多忙を極めており、毎日帰宅するのは夜9時を過ぎないことはない。
であるから月から金までドラマを録画しておき、休みの土日にまとめて視聴するようにしていた。
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その日の土曜日も榊原さんは午後からマンションのリビングソファで寛ぎながら、録り置きしていた人気海外恋愛ドラマを楽しんでいた。
晩ご飯を食べた後くらいから見始め今は既に深夜零時を過ぎようとしており、ドラマはそろそろ終わりになろうとしている。
壁に設置された24インチの液晶テレビの画面では、
海の見えるお洒落なバーカウンターに座るヒロインの若い女性がグレーのスーツに身を包んだ渋い中年男性にプロポーズを受けているところで、どうやらクライマックスのようだ。
アメリカ南部にある片田舎の生活に嫌気がさしたヒロインがハイスクールを卒業すると同時にニューヨークに単身移住し、カフェのウェイトレスをしながら様々な人との出会いや裏切りの後、最後はアラブの大富豪の御曹司と結ばれるという絵に描いたような恋愛ストーリーだ。
榊原さんは今の自分の姿を、このヒロインの女性に重ね合わせていた。
彼女は次回予告を見ながら
「あーあ、私にも、こんな素敵な男性との出会いとかないかなあ、、、
でもだめよね、こんな売れ残りで大年増のおばさんなんて」
と独り言を呟き軽いため息をつくと、録画の視聴を止める。
すると画面はいきなりテレビ通販番組に切り替わった。
煌びやかなスタジオの中央に立っているのは、
派手なハッピ姿をしたテンションあげあげの男と
純白のスーツをまとった女子アナ風の女性。
「それでは、こちらの比較画像をご覧ください」と男が背後の大画面を指さす。
中心から二つに分割された画面の左手には
直立姿勢で起立する白いビキニ姿の女性が映っており、その艶のない髪と肌そして下腹の出ただらしない体躯から、生活に疲れた中年女性という感じだ。
対して画面の右手にも同じ白いビキニ姿の女性が映っているのだが、艶やかな長い髪に張りのある肌そして均整の取れたメリハリのある体躯は、まさにハリウッド女優を彷彿とさせる美しい女性だ。
「ええ!こんなに変わるんですかあ!?」
女子アナ風の女性がわざとらしく驚くと、男は大きく頷き続ける。
「もちろんです!今回ご紹介しましたこの話題の商品『ハリウッドスーツ』を使用しますと、どなたでもこの右手に映る女性のように変身できるのです。
さあ貴女もこの『ハリウッドスーツ』で退屈な日常を抜け出して、海外ドラマのヒロインのようなめくるめく日常を手に入れませんか?」
スタジオ内に沸き起こる拍手と歓声。
「ええ!噓でしょ?、、、」
榊原さんは思わず声を漏らすと、テレビ画面に食い入るように見入った。
画面では商品の価格の説明の後、女性スタッフがフリーダイアルを読み上げている。
あ~!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
ワロタ
最近エロ同人やコミックである皮を被る系
確かに気づいたら怖い系の話になるよな(笑)、角度変えるとこんな話も作れるとは!
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
ハンサムスーツかな?
女版ハンサムスーツとでも言いますか
─ねこじろう