【short_51】窓の灯り
投稿者:kana (210)
会社からの帰り道。自宅までトボトボ歩く。
歩きながら家々の窓の灯りを見るのが割と好きだった。
覗きではないよ。なんて言うか、温かい窓の灯りには、それぞれの生活があって、
窓の灯りの数だけ人生があって、ドラマがあるわけでしょ?
そんなことを想像しながら歩くと、映画やテレビなんか見なくてもほっこりできる。
今夜もそうして歩いていたんだけど・・・とあるマンションの一室が、カーテン空きままで中が少し見えてるんだけど・・・一瞬ビクッとした。
人影が・・・首を吊っているような人影が見える・・・いや、まさか、見間違い?
ボクは足を止めて、確かめるように目をこすり、もう一度よく見た。
カーテンは閉まっていた。・・・見間違い・・・だったんだろう。
ストレスでも溜まっていたのかな・・・。
部屋に戻ってもさっきのシーンが気になった。
そうだ、あの部屋ならここからでも見えるのではないか?
ボクはベランダに出て、スポーツ観戦用に買った双眼鏡を手に、
さっきの窓をもう一度探して覗いてみた。
あった。・・・カーテンが空いてる・・・そして、やっぱり部屋の中に首吊り遺体がある!!
ボクは警察に通報した。
・・・が、その後警察官が我が家にもやって来て、逆に質問をされた。
あの部屋にそんなものはないというのだ。
まるでボクがイタズラ通報でもしたかのように言われた。・・・心外である。
それから1か月後の同じ時間。
例の首吊りに見えた部屋の住人が、本当に首を吊って遺体で発見されたらしい。
警察車両が集まっていた。
いったいボクが見たのは、なんだったんだろう・・・。
それ以来、窓の灯りを見るのが、少し怖く感じるようになりました。
kanaです。
最後から2行目の「いったいボクが見たのは、なんだったんでしょう。」がどうしてもしっくりこなくて、1日たってから「いったいボクが見たのは、なんだったんだろう・・・。」に修正させていただきました。こっちの方がすっきり・・・したかな。
すっきりしましたよ。