老夫婦の闇
投稿者:太山みせる (35)
短編
2024/02/08
10:53
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優しくて、面倒見の良い早紀の話
旦那の転勤で東京に行ったら、社員寮が旦那の祖父母の家の近くにあった
祖母は元気だが、祖父は糖尿病を患いほとんど寝たきりだ
そんな祖父を哀れに思い、近所にいるんだからと毎日糖尿病用の食事を作って、食べさせに行くことにした
ところが検査をしても、数値が良くならない
もしやとゴミ箱を見たら、アイスの空き箱がいくつもあった
祖母は甘い物が嫌いな筈だ
まさか食べさせているのか?
祖母に聞いたらはぐらかされた
それなら現場を押さえようと、早紀は預かっている合鍵で、いつも行かない時間にこっそり家に入った
すると、祖母が台所で小声でブツブツ言いながら何かをしている
そっと近づくと、ボウルに入れたアイスに砂糖をかけて、かき混ぜていた
固いアイスはなかなか溶けないらしく苦戦しているようで、早紀には気づかず、ひたすらブツブツ言っている
声を掛けようともっと近づいたら、何を言っているか分かった
「しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね……」
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