美しい女
投稿者:kana (210)
ある日の夕刻。
残業もなしで帰宅の途についたボクは、駅のホームでちょっとだけ驚いた。
なんだかいつもより人がたくさんで大混雑なのである。
いくら帰宅時間だからと言っても、いつもはもっと楽にスイスイと乗れたのに。
そう思いながら、普段は乗らない少し空いていた後ろ寄りの車両に乗った。
座れはしなかったが、なんとか手すりにつかまる事ができ、電車は定刻通り出発した。
スマホを見ながら時間を潰す。
ふと見ると、スマホの背後に女性の足が見えた。
ボクの前の席に座っている女性の足が、スマホ越しに見えたという感じだ。
とても美しい、長くて白い足。短めのタイトなスカートで内モモあたりにホクロがある。
こんな黒い点がひとつあるだけでセクシーさがアップするのだから、ホクロとは不思議なものだ。若く美しい足を見たのだから、その上も見たくなるのは人情だろう。
ボクはなにげなく視線を上の方にも向けた。
髪は黒のストレートでロング。モデルのようなシュッとした感じで、誰もが美人と太鼓判を押してくれそうな女性だった。
ただ、ちょっと不思議だったのが、着てるものが就活生がよく着ているような女性用スーツで、時期的に今はそんなシーズンでもないし・・・中途採用の面接にでも行ってきたのだろうか・・・と余計な詮索をした。
(自分が面接採用官なら、即採用してもいいなぁ、この子なら)
そんな妄想が膨らんだ。
電車が次の駅のホームへ入る。
彼女は少し振り返り、窓の外を見ていた。
その瞬間、彼女は目だけを『ギロッ』とさせ、こっちを見た。
しまった・・・視線がバッチリあってしまった。・・・なんとも気まずい。
ボクはすぐに視線を外してスマホを見る。
(あなたの太ももなんか見てませんよ~)という態度で、スマホを読んでるフリをした。
アブナイアブナイ・・・少し焦りながらも、なんとか落ち着こうとしたその時、
彼女がおかしな行動に出た。
足を組んで、指は自分のアゴのあたりに置いて、ポーズをつけてこっちをガン見しはじめたのである。あまりの堂々としたガン見に、最初はボクの後ろの方にある広告やモニターでも見てるのかな?と思ったが、いや、間違いなく彼女はボクをガン見している。しかも笑顔まで作ってポーズを決めて来た。まるで写真でも撮ってくださいと言わんばかりのモデルポーズだ。
(イヤ、バカな・・・ただチラっと目が合っただけのおっさんに、こんな態度でガン見してくるなんて、ありえるか? しかも電車内で)
ボクは軽くパニックになりそうだった。と同時に、これは目を合わせちゃダメなやつじゃないか?と思い、必死にスマホを読んでいるフリをした。
(いったいなんだ?もしかして抗議のつもりだろうか?ナニ見てんだよって・・・そりゃ確かに太ももはチラリと拝見させていただいたけど、ジロジロと品定めしたわけでもなく、痴漢をしたわけでもなかろう。美しいものが目の前にあれば、きっと誰だって見るに違いない)
kanaです。あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
相変わらず何度読み返してもところどころに誤字脱字があって、
あとから修正したりしてます。
誤字脱字を見つけたらぜひコメント欄でおしらせください。
。。。10月くらいに書いた「母の生まれた謎の集落」なんて、12月に入ってから「40年」と書くところを「40」としか書いてないのを見つけて恥ずかしい思いをしました。
「40」で配信しちゃった朗読者の皆様、ごめんなさい。
ボクの作品は誤字脱字だと思ったら勝手に修正いれてオッケーです。
今年もよろしくお願いします。