【白鳥凉子】というマッチングアプリの女
投稿者:ねこじろう (147)
ここは都内にある大手食品会社A社の社員食堂。
昼時ということもあって、広い食堂内は社員たちで込み合っていた。
縦に並んだ長テーブル真ん中辺りに若手男性社員4名が陣取り、日替り定食を食べながら談笑している。
早々に食事を終えた24歳営業部の上條が口を開く。
「最近さあ、『ベターハーフ』とかいうマッチングアプリ始めたんだけどさあ。なかなか良い子いなくて」
くっきり二重の瞳。
その真上で茶髪の前髪を切り揃えた、韓流アイドル系の顔立ちをしている。
すると正面に座る同じ部署の男子社員が喋りだす。
「お前、派手めでスレンダーな女子が好みだったよな」
「そうなんだよ。
リストの子は皆地味な女子ばかりでさあ。
まあ、真面目な婚活アプリだからしょうがないけどさ」
そう言って上條は苦笑すると、コーヒーカップを口に運んだ。
ちょうど上條の真後ろの席には総務課の愛未が座っていた。
今どき珍しい分厚いレンズのメガネをかけた地味なタイプの彼女は、今年四十路になる。
痩せ型で融通の利かない典型的な陰キャタイプで、社内では密かに「お局様」と呼ばれていた。
彼氏はいない。
もちろん今まで全く交際の経験が無かったというわけではなかった。
数人の男性とお付き合いしたことがあるのだが、長続きしないのだ。
というのは彼女は異常に独占欲と嫉妬心が強くて、そのせいでいつも相手の男の方から別れを告げられてきたのだ。
愛未は先ほど上條が言っていた「派手めでスタイルの良い女子が好み、、、マッチングアプリ『ベターハーフ』、、、」という言葉を数回小声で反復していた。
愛未は、15も年下の上條に対して恋愛感情を抱いていた。
というのは彼女は年齢に似合わずアイドル好きで、年下の可愛い男性が好みだったのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
愛未はその日自宅アパートに帰るとさっそくパソコンを開いて、「ベターハーフ」というマッチングアプリをダウンロードした。
そして必要な登録条件を入力していく。
住所は同じ地域の別の町に、氏名は適当に、そして年齢は39ではなく、上條と同じ24歳と入力する。
それから相手に求める条件などを入力した後、最後はいよいよ顔写真を入れるところにきた。
彼女は立ち上がり化粧台の前に座るとメガネを外し、念入りに化粧を始める。
美術系の専門学校を卒業した後しばらく化粧部員の仕事をしていた経験もある彼女は、その気になればハリウッドの特殊メイクばりに化粧は上手だった。
演じるって疲れますよね。
そうですね、演じる対象と演者の見た目や中身がかけ離れればかけ離れるだけ、演者はくたびれるものでしょうね。
─ねこじろう
1回、三井のリハウス、しとこか。
⬆️🤣🤣🤣
そういえば、そうですね
─ねこじろうより
なぜか、エースを狙えと言うアニメを思い出した。
黒烏夏男です