犬噛みさま
投稿者:ぴ (414)
短編
2023/02/22
18:37
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古い風習がある私の生まれた地域では「犬噛みさま」という伝承があります。
それは昔、この地で飼われていた犬がいて、その犬が驚くほど長生きだったらしいです。
普通の犬の寿命よりも何倍も生きており、神聖視されていました。
あるとき、村ではやり病が起こり、その犬の飼い主が病気で動けなくなりました。
もうダメかと思ったときに、犬が飼い主を噛んだのです。
金色の光が輝き、そして気づいたら飼い主の体が全快していたそうです。
これに驚いた村人が同じように犬に噛んでもらうとはやり病が治っていきました。
こうして村でははやり病がこれ以上広まらずに済みました。
ただ長生きした犬は病に侵された村人を噛んだ後、まるでそれと引換えるように眠るように亡くなりました。
これを機に、「犬噛みさま」の像を立て、そこに供物を祭るようになりました。
今では村人もほとんどいなくなって、この伝承を知っている人もほとんどいなくなりました。
その村の末裔である人間には「病にかからない」という特徴があると言われます。
そして私も兄弟も両親も祖父母も実際にこれまで病で倒れたことがありません。
犬噛みさまの伝承をこれからも引き続き、子々孫々に伝えていきたいです。
そして犬嚙みさまへの供物を今後も絶やさず、しっかり祀っていきたいと思っています。
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