発信アリ
投稿者:金網政太郎 (3)
(注)これは、15年前に私が体験した「実話」です。登場する携帯電話は当時の主流だった「折り畳み式のガラケー」です。
ある日の昼下がり、仕事をしているとどこからか「この電話は現在使われておりません。番号をお確かめになって・・・」という声が聞こえてきた。
ちなみに社内には私と上司しかいなかった。
何度も何度も聞こえるので「声の出所」を二人で探したら、犯人は上司の上着のポケットに入っていた「携帯電話」だった。
上司「なんだよ、これ、勝手に発信しているぞ」
私「???・・・おかしいですね。触ってもいないのに何で勝手に発信してしまうんだろう?」
上司「それよりも、この電話番号、この前アドレスから消したんだぞ・・・」
えっ、と思い、電話の画面を見せてもらうと、Sさんという名前とその方の携帯電話の番号が表示になっていた。
私はその名前に見覚えがあった。
そうだ、上司の友人だ。会社にも電話が何度かあったっけ。でも・・・。
私「あれ、この人って、この前、亡くなったんじゃ・・・」
上司「ああ、訃報の次の日にはアドレス帳から削除したんだけどな」
そう言いながら上司は電話を切ろうとしたのだが・・・。
上司「あれ、ボタンが全部無効になっていて切れないぞ」
私「嘘でしょ?ちょっと貸してください」
確かに、どのボタン(スクロール・ボタンを含む)を押しても「この電話は・・・」というアナウンスと「Sさん」という画面表示が消えないのだ。
上司「どうする?」
私「とりあえず電源を切りましょう」
停止の長押し1、2、3・・・・・・プツッ。
ようやく社内に静寂が戻った。
ホッとしながら電源を再び入れてみたのだがボタンは相変わらず無効で、発信もメールもアドレス帳の確認も出来ない状態だった。
画面の表示を見ても無効設定になっている様子はない。
おかしいな、と言いながら色々なボタンを押していると、突然、電話が発信を開始した。
画面を見てみるとそこにはまたSさんの名前が!
そして再び鳴り響く「この電話は現在使われておりません・・・」という無機質なアナウンス・・・。
慌てて停止ボタンなどを押したが、先ほど同様、すべてのボタンは無効のままで停止をすることが出来なかった。
埒が明かないので、再び、電源を切った。
私「これって、絶対おかしいですよね?」
上司「どうして、アドレス帳から消したSさんに勝手にかかってしまうんだろう?それに、操作がすべて無効、というのも困るよな。買って、まだ3ヶ月だぞ」
再び電源を入れてみたがやはりボタンは無効のままだった。
先ほどのように色々なボタンを押していると、再び、電話が発信を開始した。
またSさん宛だ!
やはり停止は出来ないので再び電源を切った。
怖いなんてもんじゃない。不思議なことってあるんだね。