見栄っ張りのA君
投稿者:いももち (40)
中学生の頃こっくりさんが流行り、オカルトブームがやってきました。人気のホラー小説はいつも貸し出し中で、ノリの良い先生が怪談を披露してくれることもありました。
私の席の近くにはお調子者で目立ちたがりのA君が座っており、給食の時間にグロテスクな話をしては周りから顰蹙を買っていました。
ある日、A君が話し始めた怪談がまとめサイトに載っているものだと気づきました。
自分が本当に体験した話だと強調し、都合の悪い部分は改変していくためどんどん破綻していくのを強引に盛り上げようとするA君をみて気まずくなり、適当に言い訳をして席を立ちました。
次の授業の体育は、体育館を半分に区切って男子はバスケ、女子はバトミントンをしていました。
コートが空くのを友だちと話しながら待っていたら後ろから飛んできたボールが強く膝にぶつかって尻もちをつき、軽く手首をひねってしまいました。
「ごめんごめん!」と走ってきたのはA君でした。先生が私を保健室まで連れて行くよう指示して、女子からのブーイングにへらへら応えていたA君の笑顔は体育館を出た瞬間に消えました。
「お前さっきの話知ってただろ」
「みんなにバラしたら次は頭狙うからな」
「人を殺すくらい楽勝なんだからな」
と吐き捨てて体育館に戻って行きました。
周りの気を惹くために嘘をついて、それがばれないか怯えてまた嘘を重ねて。
しんどそうだな、とどこまでも真っ白な湿布を貼ってもらいながら思いました。
その後の彼は見栄っ張りのまま大人になってしまったのか気になります。
自分が見栄っ張りなんバレるんが怖いだけやろ