知り合いから聞いた話
知り合いには親戚に、独り暮らしの年配の男性がいた
その人は小型の室内犬を飼っていた
愛情たっぷりに世話をして犬も飼い主も幸せそのものだったそうだ
ところが、ある冬の時期に男性と連絡が取れなくなった
一週間ほど音沙汰がなく、心配になった知り合いの母親が、男性の住んでるマンションの部屋を訪ねたそうだ
マンションには鍵が掛かっていて、犬の鳴き声だけが聞こえていた
部屋の中を確認できず、たまらず警察に通報した
警察やレスキュー隊が集まって、ベランダの窓を破って部屋に入ったそうだ
知り合いの母親は部屋の外で待っていたが、突然部屋の中から悲鳴が聞こえた
悲鳴を上げたのは部屋を確認したレスキュー隊だった
らしい
少しして、レスキュー隊と警察が来て、部屋の中で男性が亡くなっていることを知らされた
知り合いの母親は、さっきの悲鳴は亡くなった男性を見つけた時のものだと思ったそうだ
こういう場合、警察は身元を特定するため亡くなった人の顔を知っている人に見せるんだが、警察はなぜか対面させてくれない
知り合いの母親は訝しんで、なぜ一目会わせてくれないのか、と警察に聞いてみた
警察が言うには、状態が良くない、とのこと
生き物が亡くなると、腐敗してしまうのは誰でも知ってるが、冬場に一週間程度でそんなにひどくなるのかと疑問に感じたので、警察に聞いたところ、腐敗ではないらしい
警察曰く、
顔がない
とのこと
初めは言ってる意味がわからなかったそうだが、本当に顔がないという
顔があるべき場所は皮膚が千切れ、骨まで露出してるところもあるのだと
男性が亡くなったのは推定で一週間ほど前
発見されるまでの間、飼い犬は、餌が用意されず、手近にあった「肉」で飢えを凌いでいた
レスキュー隊員が悲鳴を上げたのは、顔が無くなっている遺体と、そこから口元を血まみれにして走り寄ってくる飼い犬を見て、思わず叫んでしまったためだった
愛情を持って世話をしても、動かなくなり、犬自身が空腹を感じれば、ただの「肉」と見做されてしまうのだ
もし飼い主がうっかり餌をやり忘れて眠ってしまえば、犬は「肉」を求めて枕元に忍び寄ってくることもあるかもしれない
悲しいけど、こういう場合犬を殺処分にしないといけない。
何故なら、一度人間の味を覚えてしまうとくせになるから。
新しい飼い主さんとか平気で噛むようになるよ(´・ω・`)。
なんとなく落ちは想像できてたけど、ヒエッてなった
何か物悲しい話。