取引先の人
投稿者:ぴ (414)
その日、営業の人から、取引先の人と連絡がつかないという話を聞いていました。
昼に会う予定だったけど、待ち合わせ場所に現れないし、電話も繋がらないらしいのです。
それで心配していたのですが、私が事務所で一人で事務処理しているときに、「すいませーん」と人が訪ねてきました。
それはさきほど、営業の人が連絡がつかないと嘆いていた取引先の方本人でした。
私はその人から紙袋を預かりました。
取引先の人は中身は何かまでは言わなかったけど、私はとにかく渡せば分かるだろうと受け取りました。
その人は顔色が少し悪かったので、ちょっと休んだほうがいいのではないかと思ったのです。
そして「コーヒー淹れましょうか?」と声をかけました。
取引先の人は「すいません。少し急いでいるので。」と慌ただしく、出ていきました。
それからしばらく経って、営業の人が帰ってきたのです。
私が紙袋を預かっていると言うとぎょっとされ、中身を確認されました。
しかしその紙袋、中身が何もなかったのです。
私がもらったときは確かにズシッと重たくて何か入っていると思っていました。
だけど、もう一度見たときには紙袋の中には何も入っていない空っぽだったのです。
その後、営業の人から、取引先の人はその日の午前中に事故にあって、病院にいるという衝撃的事実を知らされました。
今も面会謝絶で会話ができない状況なのだそうです。
営業の人曰く、だからここに来れるわけがない、と。
でも私は確かにその人を見たし、しっかり会話も交わしました。
そういっても営業の人は信じてくれなかったです
後日、取引先の人は懸命の治療にも関わらず亡くなったそうです。
私はそれを聞いてとても恐怖を味わいました。
私があの日しゃべったあの人は生身の人間じゃなかったのかもしれません。
そうだとしたらとても怖いと思いました。
渡された紙袋の中身が大変気になる
本当に不思議ですよね。
紙袋が真実を物語っています。