顔の分からない神
投稿者:ヲヲッシュ (5)
これは、地元で毎年行われているお祭りの行事にまつわる話です。
このお祭りは私が生まれる前から何年も続いている伝統的なお祭りで、地元の人が大事に継いできたお祭りです。
普通のお祭りのように出店や射的屋、盛り上がる山車などもあり、若者からお年寄りまでとても人気があります。
その催しの中に、神社の神楽殿でのお神楽様があります。
地元の演奏者たちが脇に座り、演奏に合わせて真ん中で神様が踊る、というものです。
その神楽は結構時間も長く、踊りも激しいものになっています。
途中で子供などがちょっかいを出すと、踊っていた神様が神楽殿から躍り出て、境内の先まで追いかけるという一幕もあります。
そんな余興もある楽しい神楽なのですが、一つ不思議な噂があります。
それは、神様の顔を誰も見たことがなく、地元の誰が神様として踊っているのか分からない、というものです。
神様はいつもお面をつけており、神楽殿から降りた後も絶対にお面を取りません。
演奏者やスタッフの方は地元の方が選ばれたりボランティアで行ったりするのですが、神様だけは正体が分かりません。
地元にずっと住んでいる祖父や祖母に聞いても「さぁ?」という感じで、誤魔化しているというより関心が抜けている、といった印象です。
私の地元には神様が本当に存在するのでしょうか。あのお祭りの時にだけ姿を見せてくれているのでしょうか。
しかし怖い、というより何だか昔から親しみを感じる不思議な存在なのです。
そんなお祭りを、私も地元の人も毎年楽しみにして神楽へ足を運ぶのです。
誰が神様をやっているのか分からなくても良い場合もあるのでは?
暗黙の了解って感じですかね。その祭りとやらネットで検索すると出てきますか?
趣深いいい話ですね。