裏拍手
投稿者:ねこじろう (147)
これは私が、とある居酒屋の席で会社の部下である堀田美優から聞いた話だ。
18歳で高校出たての新卒なのだが、まだ若いのに少し陰のある子だった。
以下はその時彼女が話してくれた不可思議な告白だ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
笑うかもしれませんが、私は鏡が怖いんです。
いや正確には鏡を見るのが怖いんです。
例えば朝、洗面所に入る時とかは腰を直角に曲げたまま洗面台の前に行き顔を洗い歯を磨くと、そのままの姿勢で室を出ます。
化粧とかも出来るだけ短時間で済ませるようにしてます。
外出して歩道を歩く時などもショップウインドウに視線を移さないようにしています。
美容院に行くときはアイマスクを欠かしません。
「どうして?」ってよく親しい友人とかに聞かれます。
その問いかけに私はいつもこう答えるのです。
・
・
中学生の時、一時期クラスで【裏拍手】というのが流行りました。
はい、左右の手の甲を合わせるようにして拍手するあれです。
これって別名【死者の拍手】と呼ばれていて、とても不吉な行為と言われているみたいですね。
放課後クラスメート数人と、そのことで盛り上がっていたとき1人がこんなことを言ったんです。
「深夜2時に鏡の前で【裏拍手】すると、死者が現れるらしいよ」
その時は単なる作り話の類いだと皆で一笑にふしたんですが、軽い好奇心から私はある日の深夜それをやってみたんです。
それは期末試験が迫ってきていた頃だったと思います。
私は2階の自室で遅くまで勉強をしていました。
家族はとっくに皆寝静まり、私1人が窓際にある机の前で頑張っていました。
ふと時計を見ると、時刻は2時近くになってます。
そろそろ寝ようかと、大きく伸びをした時でした。
机の片隅に立て掛けてある小さな鏡が視界に入りました。
その時ふと私は以前クラスメートが言っていた【裏拍手】の話を思い出したのです。
もう一度時計を見ると、時刻は1時56分。
─確か2時に【裏拍手】をすると、死者が現れると言ってたような、、、
でもどうせ作り話に決まってる。
連れ去られたということですね・・・
恐怖でしかないです( ノД`)シクシク…