着物に宿った素敵な念
投稿者:りー (118)
あれは私が二十歳の時です。
成人式に合わせて着物を着たのですが、その着物は所謂ビンテージもので明治時代に作られたものです。私の先祖が代々着ていたもので古くても趣のあるものでした。
初めて着るそれに上機嫌になった私は、成人式が終わっても脱ぐ事をせず久しぶりに会った友達と居酒屋で着物姿で飲み明かしました。
帯の締め付けがきつかった事や酔いが回った事もあり私は暫く寝てしまいました。
すると不思議な夢を見たのです。景色は随分と古めかしくまるで時代劇に出て来る様な昭和の街並みが広がっていました。
夢の中の私は妙にウキウキして小高い丘の方へ走って行くのです。丘の上はこれまた時代劇で見る様な坊主頭に詰襟の学ラン、今時誰も被っていない学生帽を頭に乗せた高校生くらいの男の子が待っていました。
男の子は優しく笑いかけ私も嬉しくなってニコニコしていました。そこでハッと目が覚めました。
不思議に思い後日母にその事を話すと「それは貴方のひいおじいちゃんとひいおばあちゃんじゃない?」と言われました。
そう言えば死んだ祖母が「おばあちゃんのお父さんとお母さんは丘の上で結ばれたのよ」と話していました。
きっとその時着ていたのが成人式で着たあの着物だったのでしょう。
着物に曾祖母の美しい思い出の念が宿っていてそれを私に見せたのだと思います。
素敵な思い出のおすそ分けをもらったみたいで心が温まる不思議体験でした。
大変いいエピソードですね。あとサイト運営様へこういった感動話のカテゴリーを設けていただけないでしょうか。
素敵なお話でした。