営業用のバイク
投稿者:ナナシー (36)
私は普段三輪バイクを使用して外回りの仕事を行っています。
自動車とは異なりバイクではめったにサイドミラーを動かすことはなかったのですが、ある朝の出発時に両サイドのミラーが全く捻じれてしまっていて明後日の方向を向いていたのです。
“誰か悪戯したんだな。”と思いながら修正してから出かけました。
一件目の用事を三十分程かけて終え、駐車場に戻ると、またサイドミラーが両方共にずれていたのです。
普段はめったに動かさないものでしたので、ミラーの軸が劣化で緩くなったかとも考えましたが大丈夫でした。
この時は“風でも吹いたのかもしれないな。”と思い、次の仕事先に移動し、昼を迎えました。
昼食は久しぶりにレストランで過ごそうとバイクに跨ると、またサイドミラーがずれていたのです。
今日は何だかおかしい日だな、と思いながらもミラーを直す前に何故かミラーの向いている方向に移るものが気になり、左のミラーを覗き込むと真っ黒の人のようなものが写り込んでいて”うおっ“と身を引きながら恐怖を感じました。
この時バイクを運転するのが怖くなり、午後の仕事先にはタクシーで向かうことにしました。
仕事を終えて事業所にも戻ってきたのですが、バイクの事が気になりました。
事業所の同僚に事の次第を話すと笑われてしまいましたが、たまたま仕事仲間が通勤途中の近いところにバイクを置いていたので明日の朝の通勤に乗ってきてくれるという事で話がまとまりました。
自分は良かった、と同時に何もなければ良いけど、と不安にも思っていました。
そして次の朝を迎えました。
私は少し早めに出勤して仕事仲間を待っていました。
出勤時間ぎりぎりで仕事仲間がバイクで到着したのですが、顔色が悪かったので、様子を聞いてみました。
すると前日のうちにバイクに乗って自宅まで帰ったのは良いがその夜、このバイクに乗って事故に合う夢を見てしまった、とのことでした。
そしてこのバイク自身も以前に事故にあってしまった事故車だということを指摘されたのです。
仕事仲間は霊感もあるのか、以前に事故を起こした際の映像も夢で見ていたのです。
縁石に乗り上げてそのまま植木や草むらに突っ込んでしまったとのこと、バイクのフロント部には確かに何かに当たっている傷は小さくいくつもあった為みんなでうなづいてしまいました。
すぐにこのバイクは業者に引き取ってもらい、当日仕事から帰った時既に事業所にはありませんでした。
ただこのバイクがまた再利用されて誰かに乗られていることを思うと、何もなければ良いなと思う次第です。
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