「変な子がいる」
投稿者:ぴ (414)
私のクラスには、「お化けが見える」っていう変わった子がいました。
最初はそれを信じている子もいたのですが、いつしかその子は「嘘つき」と後ろ指をさされるようになりました。
理由はクラスで「変な子がいる」と騒いだことがあったからです。
その子が言うには、クラスに赤いランドセルを背負い赤い靴を履いた知らない子がいるらしいのです。
当然私たちにはその姿は見えませんから、真偽を確かめる方法はありません。
でもおそらくみんなこういうことを言われて怖かったのでしょう。次第にその子を村八分のように無視するようになりました。
しかし、私は一度だけ赤いランドセルに赤い靴を履いた子を見たことがあるのです。
掃除の時間に焼却炉の後ろの林の中で、一人でぽつんとしているその子を見ました。
私が声をかけようとしたら走り去っていき、顔までは見ていません。ただ確かに変な子を見たのです。
しかしそれは誰にも言うことができませんでした。だって私まであの子と同じように無視されるかもしれないと思うと、怖かったのです。
お化けが見えるという子はその後登校拒否になり、一日だけ学校にやってきました。
そしてその日に「転校することになりました」とその子を引き連れた担任が言ったのです。
親の転勤の関係で、その子は学校を去ることになりました。
私はすごく罪悪感が芽生え、何とも言えない気持ちになりました。
だからその子が帰るときに、少しだけ声をかけてみたのです。
そしたらその子が振り向いて私に知っているはずもないことを言いました。
「あなたも見たんでしょ?」って。
ほかの友達が意味が分からないと言っていましたが、あきらかにその子は私が赤いランドセルの子を見たことを知っていたのです。
私はそれを聞いて、体が硬直し、寒気が止まらなくなりました。
あれ以来、いつまた見てしまうかとおどおどしながら学校に通いましたが、幸い二度と赤いランドセルの変な子を見ることはなかったです。
転校したあの子は本当に見える人だったのでしょうか。
そして私はなぜ見えてしまったのか今も分かりません。
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