墓地で見たもの
投稿者:HOD (11)
私は小学生の頃、祖父母の家に帰省をするのが嫌でした。
とても田舎の山奥にある集落の一つでした。
祖父母の家のすぐに下にその集落の墓地があり、そこを通らなければ祖父母宅に着きません。
しかも、山の中にあるため土地そのものが少し傾斜になっていて、庭からも、トイレの小窓からも墓地が見えるのです。
そのことが幼い私には怖くて怖くてたまらず、お盆、お正月が嫌で仕方ありませんでした。
しかし、子どもなので、私だけを家に置いて両親が帰省するわけもなく、抵抗むなしく、連れていかれるだけでした。
そこで、トイレに行かなければいい、と子どもらしい発想で思いつき、なるべく途中の駅などで済ませてから祖父母宅へ行き、水分も食事も極力控え、トイレを我慢しました。
しかし、そんなことをしても尿意はきました。
運の悪いことに、夜中でした。両親はすでに眠っており、一人で行くしかありません。
トイレは部屋から少し離れたところにあり、真っ暗な中、なんとかたどり着きました。
山の中にあり、このあたりは農家が多く、夕方には家にいます。
そして家の前は私道のため、電灯もありませんでした。ようやくトイレの電気をつけて、
ふと見ると、小窓の先が少し明るい気がしました。
おかしいな、と思い小窓から外を見ると、どう見ても火の玉でした。
こわくてとっさのあまり、しゃがみこんでトイレから出て、布団に入りました。
次の日の朝になり、あれはなんだったのかとおもいながら朝ご飯を食べていると、昨夜、親せきのおじさんが息を引き取った話をしていて、通夜や葬式でバタバタになると聞き、改めてゾッとしました。
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