夜中に外を眺めるおじいさん
投稿者:ぴ (414)
心の病で一度田舎で療養したことがあります。
そのときに私の家の前に住んでいたおじいさんの行動が異様でした。
このおじいさんはどうやら若い頃に奥さんに先立たれ、長い間独り身だと聞きました。
朝早くから河原のほうへ散歩に出かけて、昼間はずっと家に篭っています。
そして夜中になると、なぜかじーっと窓から外を眺めるのが日課でした。
そうすると私の部屋からおじいさんは丸見えで、夜中に外を覗いているのが不気味でしょうがなかったです。
私はそのおじいさんを何度も何度もこの目で見ました。
夜中に「また見てる」と怯えて、窓からこっちを見ていると両親に訴えたこともあります。
おじいさんはそこに確かに存在していたはずなのです。
なのに私が療養を終えて、元居た場所に戻ってからその話をしたら両親はおかしなことを言い始めました。向かいの家に人は住んでいなかったと言うのです。
私は実際におじいさんがいたことを覚えているし、両親も知らないはずはないのです。
それなのに両親はまるで私の記憶がおかしいかのように「あの家には誰も住んでいなかった」と口を揃えていうのです。
確かにあのとき私には心の病気がありました。
ですが、そのせいでいないはずのおじいさんが見えていたわけではないのです。いくらなんでも私の病にそんな症状はなかったはずです。
私はもう一度療養のために住んでいた家に戻ることがあれば、この目で確かめたいと思います。
そしてもし両親の言っていることが本当だとしたら私が見たおじいさんは何だったのかと恐怖を感じます。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。