噂のさとこちゃん

昔、子供の間でおまじないみたいなのが流行ったことなかったですか？

消しゴムに好きな人の名前を書いて見られないまま使い切ると両想いになれるとか、ミサンガを切れるまで使い続けると願いが叶うとか。

そんな中、私が地元の噂で聞いたおまじないは「噂のさとこちゃん」というものでした。

これだけ聞くと、なんだかアニメのタイトルにもありそうなポップな感じの印象を受けますが、おまじないの内容は一変してえぐいです。

それは自分が嫌いで嫌いで仕方がない人の机に「噂のさとこちゃん」と書きます。

そしてその書いた名前を1週間以上消さずにいられたら、その人がさとこちゃんという化け物に食べられて死んでしまうというものなのです。

おまじないというよりは、もはや「呪い」みたいですよね。

でも一時そのおなじないが私たちの学校ではなぜか大流行したのです。

まあ本人の机の上に書くのですからほとんどの人が気づいて消してしまいます。

しかし、私はどうしても嫌いな担任がいて、先生が座る机の裏にこっそりと「噂のさとこちゃん」と書いたシールを貼り付けてみたのです。

直に書くのではなく、シールでしたし、まさかそれで本当に呪い殺せてしまうなんて思っていなかったです。

ただ気づいて先生が怖がればいいなと嫌がらせのつもりでやりました。

だけど、運悪くその先生はシールに気づかなったのです。

それからすっかり忘れていたら、丁度1週間後に先生が突然学校に来なくなりました。

そして翌日、事故で亡くなったと言われて、仰天しました。

私はその日の放課後にすぐに教卓の裏のシールを確かめて、未だ貼っていることにぎょっとしました。

そしてそのシールをすぐに剝がして、教室のごみ箱に捨てたのです。

先生の死が噂のさとこちゃんのせいとは限りません。ただの事故だった可能性は十分あります。しかし、あまりにタイミングがばっちりすぎて、「もしかして…」とも思ってしまうのです。

噂のさとこちゃんのおまじないは私だちの代ですーっと忘れ去られました。

このような不穏なおなじないはしないように気を付けたほうがいいと思います。

ずっと罪悪感の中生きていかなければなりませんからね。