廃屋のおばあさん
投稿者:Bsen (7)
短編
2022/05/15
16:56
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私が住んでいるのは都会から離れた雑木林に囲まれた集落で、近隣には昭和に建てられた古い家が目立っていて、すでに半数が空き家と化しています。家の近所には誰も住んでいないと言われるボロボロの廃屋があるのですが、そこは数年前までおばあさんが1人暮らしをしていました。廃屋はおばあさんが暮らした頃の名残を、完全にとどめたままです。表札は付けられたままで、家は屋根に穴があき、全てが朽ち果てて今にも倒れそうな感じになっています。
ある日の薄暗い夕刻、いつものように自転車でコンビニに行くことにしました。市街地の一番近いコンビニは自宅から自転車で10分のところにあり、訪れるにはその廃屋の前を必ず通らなければいけないのです。
夕闇に包まれるなかで廃屋の前を通り過ぎようとした時、廃屋でぎょっとする出来事に遭遇しました。道路に面した廃屋の窓はコケや汚れでボロボロなのですが、その窓の中を白い姿がスーッと移動してガタン!と物音をたてたのです。え、まさか崩れそうなボロボロの廃屋に、おばあさんが今もいる?そう思ってそれから数日、廃屋を確認して見ているのですが、まるで人の気配はありません。もしかしてあれはおばあさんの亡霊だったのかもしれないと思って、廃屋の前を通るのがいやになっています。
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