憑く地下道
投稿者:Bsen (7)
短編
2022/05/27
03:01
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新宿までも離れていない多摩エリアのとある駅前に、自転車も通れる地下道があります。
その地下道は昭和の頃にできたもので、日中であっても他のどの地下道よりもとても暗いのが特徴でした。
そのため近隣では、そこを通ると幽霊を見るという噂が絶えなかったです。
ある時知り合いの女性が自転車に乗ってぶらぶらしていた時、その地下道を通ったそうです。
その人は子供の頃から心霊現象に遭遇していて、知らずと幽霊スポットに出くわしてしまうのだとか。
地下道には照明は点いているものの暗く、地下特有の淀んだ空気に満たされていました。
するともっとも暗いところに、人がうずくまっているのを見かけたそうです。
小さい女の子が、座ってうつむいてじっとしているのです。
女性はどうしたんですかと声をかけるも、ぴくりとも反応しません。
しかしじっと見ていると、その女の子は背後の汚い壁面が透けて見えていて、完全に人ではなかったそうです。
女性は慌てて自転車を漕いで走らせたのですが、気配と視線が収まらないので横を見ると、女の子が暗い壁際にたってじっと見ていたそうです。
「付いて来ている」このままで憑いてこられると思った女性は、お経を唱えながら自転車を立ち漕ぎして地下道を飛び出したのですが。
そこでパっと気配は消えて、付いてくることもなかったとか。
しかしもし徒歩で声をかけていたら逃げようがなく、どうなっていたか分からないと、女性は語りました。
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