夜にジョギングしてみたら
投稿者:Bsen (7)
短編
2022/05/30
02:03
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夜の22時を過ぎた地方の市街地は、日中とは打って変わり通行する人の姿もほとんどありません。
友人Aは仕事が終わると、そんな夜の街をジョギングするのが日課でした。
ハーフマラソンの大会に出場するため、毎日走る必要があったのです。
Aは街灯が多くて明るい市道を通るのをやめて、たまには裏道を通ってみようと思いました。
それで見知らぬ道の奥へと入っていったのです。
すると昔ながらの住宅地に入り込み、車1台がやっと通れるくらいの幅で、くねくねと曲がった道が続きました。
なかなか新鮮で面白いと思ったAでしたが、街灯が少なく雑木林に面した真っ暗な場所が続いたので、やっぱり通らないほうが良かったと思い始めたそうです。
しかし進んで行けば市道に出るはずと思っていたのに、道はどんどん市街地から離れて山の方に向かっていて、坂道になり出したのでした。
それでもう引き返そうと思ったAでしたが、雑木林の前で足を止めました。
100mほど先の暗い道路の真ん中に、人がじっと立っているのです。
真っ暗なのですが確かに人で、女のように見えました。
それはAと向かい合ってもまったく動こうともしないのですが、1歩踏み出すと女もタイミングを合わせ前に出たのでした。
Aは背筋が凍りつく思いがして、来た道を猛ダッシュで帰ったそうです。
後でAが調べたところでは、その場所は数年前に死亡事故が起きていたり、死者の出た火災現場のそばだったという話でした。
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