虹色のインコと長い廊下の先
投稿者:ぴ (414)
昔、親戚からとても綺麗なインコを預かったことがあります。
親戚が3泊4日の旅行に行くので、帰ってくるまで預ってほしいと頼まれて、しょうがないなぁと預かったインコでした。
どうやらとても可愛がっているらしく、インコの籠とともに餌やら何やら一式を持たされて、お世話の仕方までしっかりとレクチャーされてしまいました。
一応預かってもらっただけの報酬をくれるというので、それも目当てで預かったのですが、私は一目見た瞬間からこのインコの異質さに戸惑ったのでした。
私が思い描いていた普通のインコと親戚のインコは明らかに違うところがありました。
色は普通のセキセイインコと変わらない黄色なのですが、頭の上に虹色みたいないろんな色が組み合わさったような逆立った毛が生えているのです。
最初見たときから普通のインコとは違うなとその外見に驚きました。
その逆立った毛がとっても綺麗で、なんだか見慣れた普通のインコとは違う種類のインコなのかなと思い込んでいました。
そのインコのお世話は特に大変なことはなかったです。
本当に普通のインコと変わらないような飼い方でした。
ただ気になることが一つ。家に連れてきてから、インコがまったく鳴かないのです。
心配になって何度も確認しましたが、インコにそれほど変わりはない感じでした。
ただ本当にうんともすんとも言わないし、鳴かないのがとても心配になりました。
インコってストレスを感じたらあまり鳴かなくなるとか言うじゃないですが。
ストレスなのかなと心配になって、何度か親戚に連絡しました。
ただ「慣れてないだけだし、大丈夫」とノー天気な親戚。
こんな綺麗なインコに何かあったら一大事と思っていた私でしたが、親戚はそれほど気にしていない様子でした。
私は注意を払いながらインコのお世話をしました。そしたら1日目に変な夢を見たのです。
すごく長い廊下の端に私は立っていました。
なんでそこに立っているのか分かりませんが、私は昔の庶民の着物のようなものを身にまとっていました。
現実の私の髪の毛は短いショートでしたが、夢の中の私は真っ黒な長い髪の毛です。
そしてその長い廊下をひたすら前に前に進んでいるのですが、一向に先に辿り着かないのです。
シンとした廊下がとても奇妙で、とても怖くて、すごく寂しいと思いました。
その夢は廊下をひたすら進んで進んで、はっとしたときには朝だったのです。
変な夢を見たなと思いましたね。
そしてなぜか冷や汗をかいて起きた私は起きてすぐにあのインコをチェックしに行きました。
インコは巣箱の中から出てきて、お水を飲んでいました。
その仕草はなんだかとても上品で綺麗に見えて、私は魅入ってしまいました。
そしてインコはその日も一度も鳴いたところを確認できなかったです。
二日目の夢の私は、なぜか少し焦っていました。
廊下を進む速度が少し早くなっており、急いで先に進もうとしているのが分かりました。
何か言いようのない不気味さがある