綺麗な白蛇の正体は……
投稿者:テラー (26)
短編
2022/03/18
14:51
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千葉県の雄蛇ヶ池は江戸時代初期に造られた用水池だそうです。この池には哀しい伝説があり、身分違いの恋に破れた娘が身を投げ、のちに白蛇として生まれ変わったといいます。
十年前の夜、この池に肝試しに訪れました。
池の周囲の闇は一際ねっとりと濃く、身体に纏わり付くようで息苦しくなりました。正直幽霊なんてどうでもいいから早く帰りたかったのですが、はしゃぐ仲間たちの手前興ざめな発言もできず、仕方なく付いていきました。
すると池の方から弱々しい女の啜り泣きが聞こえてきました。
「今の聞いた?」
「なんだよ、脅かすなよ。何も聞こえなかったぞ」
前を行く友達の肩を叩いて訴えれど信じてもらえず、顔面蒼白で立ち尽くしました。次の瞬間、足の先をサッと何かが横切ります。
「うわあっ!」
小さくて綺麗な白蛇でした。
鋭い悲鳴を上げると蛇は意外に円らな目でこちらを一瞥し、素早く叢に消えていきました。
あれは池で死んだ娘の化身だったのでしょうか。
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