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心霊

kornさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

堤防から手を振る人
短編 2022/03/15 03:33 938view

私が新卒で就職したのが、夜12時まで営業している焼き肉店だった。
就職氷河期で、自分の思うところに就職できず、受かった所がそこだけしかなかったのだ。
どんな仕事でも仕事は仕事、そう思って働いたが、きちんと残業代は支払われなかった。

ある日、連日の長時間労働でクタクタになりながらも仕事を終えて、いつものように車を走らせた。
まっすぐ走れる川沿いの堤防は、毎日通る道だ。
5月で肌寒く、小雨が降ってきていた。

突然前の車が何かを避けるかのようにハンドルを切っていた。
何だろうと見ると
白い人影が道路の真ん中で手を振っている

そして、切羽詰まった様子で近づいてきているのだ。
疲れてぼんやりしていたが、急に心臓が跳ね上がり、頭が急に冴える
夜中の2時頃で、しかもその人は雨に濡れていて、半袖を着ているように見える
怖くて直視できないが乗せてと言っているような気がした。
でもこんな時間にこんな場所にいるなんて・・・と思って、さっと避けるように車を寄せて走らせた。

通り過ぎても心臓がバクバクいっていた。
何かトラブルがあったのかな。良くなかったかなと後ろめたい気持ちにもなったが、危険な人を乗せることはリスクの高いことだと思い、自分の良心を押し殺した。

季節外れの格好と肌寒い雨、手を振る動き方が妙に気持ちが悪かった。

のちに堤防は良くない、川の近くは良くないと家族から聞いた。
そのあと2ヶ月で体調を崩して退職したため、その場所は長年通っていない。

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関連タグ: #事故物件#川#雨
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