崖の上のホテルで起きた怪現象

ツアーガイドの仕事をしていて、日本中を飛び回っていた。

ある日、宮城県のとあるホテルに宿泊。それは、崖の上にそびえ立つ大型ホテルだった。

この仕事をしていると、お客様と同じホテルに泊まるが、ガイドは一般客室ではなくいわゆる訳ありの部屋に泊まらされることが多い。それは、宿泊代金がお客様とは違う業務用の値段だからだ。

私は、霊感などはなく、この仕事で一度も霊を感じたことがないため、変な部屋に泊まることは一切抵抗はなかった。

この日、止まった部屋は崖の上の最上階の部屋。４畳半くらいで、出窓が一つ。出窓を開けると、遥下には岸壁に波打つ岩場。

さて、私は実は、旅館で自分の部屋に鍵をかけたことが実は一度もない。チェーンロックなどなおさらだ。

部屋に入って、ベットの上でゴロンとし目を閉じてボーッていると、先ほど仕事で行った宴会場にカバンを忘れていることに気がつく。

あ、やべー

と思い、部屋を出ようとしたその時。

ドアに鍵がかかっている

かけたことが人生で一度もないチェーンロックがかかっているのだ。

背筋が凍った。

誰か部屋の中にいるのか？

布団のマットレス、タンス、隅々までひっくり返して調べたが誰も出てこない。

ふと、窓を見ると何かを誘うように窓から冷たい風が吹き込んできた。

この部屋の窓からきっと、、、誰かが、、、

訳あり部屋をあてがわれるのはよくあることだが、生まれて初めての恐怖体験だった。

10年経った今も、この怪現象の理由は判明していない。