指をさす
投稿者:夕暮怪雨 (11)
Kは犯罪を犯して刑務所で服役をしていた。
そこである受刑者と出会った。受刑者は明美と名乗った。彼女は夫を殺め服役中だと話した。そんな明美は、Kが怪談好きと知ると面白い話があると話してきた。
彼女は夫を殺めたあと、何食わぬ顔で夫の親友と同棲をしていた。夫の親友は遠藤という名だった。彼には、夫は他の女の所へ行き、戻って来なくなったと話していた。遠藤は優しい男で明美を心配し、寄り添ってくれた。
気づけば一緒に住む様になった。しかし同棲して、しばらくすると明美に対し、よそよそしい態度を取る様になった。話かけても何処か距離を取る。明美は苛立ちがつのった。ある日、よそよそしい態度の理由を聞いてみた。
すると遠藤は重い口を開いた。
「明美と同棲する様になって、この家には俺と君以外、もう一人同居人がいる」と訳の分からない事を話した。
続けて彼はこう話した「それは君の夫だ。指を刺している。俺じゃない君に向けてだ」最初、夫が遠藤の前に現れた時は、幻覚だと思ったそうだ。しかし現れる日が徐々に増え、必ず明美に向け指を指す。
彼は明美に「一体彼は何を伝えたいんだ?何か俺に隠しているだろ?」と問い詰めた。彼女はそこで、夫を殺害した事を包み隠さず話した。彼は全てを受け入れた。そして自首する様に明美を説得した。彼女は自首をし、罪を償う事を決めた。遠藤が待つと約束したからだ。
そう明美は話を終えると「私の作り話、面白かったでしょ?」と笑いながらKに話した。Kは愛想笑いをして明美の後ろをじっと見た。彼女は二つ嘘をついている。
一つ目はこの話は嘘ではない。
残りの一つは明美の後ろに男が立ち、じっと彼女を見つめ指をさしている。ただそれが一人ではなく二人だった。彼女は遠藤も殺めたのだろう。
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