化野念仏寺の怪
投稿者:C (15)
短編
2022/02/22
17:09
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京都に一人旅した際に体験した出来事です。
当時の私はまだ学生で、特に予定を決めず好奇心が赴くままあちこち観光していました。
旅の最終日に目的地として選んだのは京都のお寺の中でもややマイナーな感のあるスポット、化野念仏寺でした。
化野念仏寺を訪れて無数の石塔を見物していた所、急に底冷えするような風が吹いてきて、二の腕に鳥肌が立ちました。
不思議に思って周囲を見回してみましたが、その日は珍しく観光客が少なく、私一人しかいませんでした。
ざわざわ、ざわざわ……葉擦れの音と間違えた音の正体が、姿の見えない夥しい人々の囁きだと理解した瞬間、冷や汗が流れました。
ぎゃあぎゃあ、ぎゃあぎゃあ……
けたたましい声に顔を上げると、真っ黒で不吉なカラスの群れが空を飛び回っています。
ぎゃあぎゃあ、ぎゃあぎゃあ……おぎゃあおぎゃあ……
カラスの嘴から迸る鳴き声が赤子の産声に取って代わり、境内を吹き抜ける風が耐え難い腐臭を孕みます。
ここにいたらまずいと直感し、大慌てで逃げ出す背中に無数の視線が突き刺さりました。
化野念仏寺はもとは風葬の地だったそうです。野ざらしにされた亡者の怨念が、今もまだ宿っているのでしょうか……。
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40年以上前の修学旅行で6人グルーブが同じ体験をした 読みながら赤子の絶叫鳴き声と匂い 思い出しましたよ 今も進行形とは…風車は増えているという事か 怖いのは人もですね