テディベアの瞳
投稿者:繭 (42)
短編
2022/02/10
21:26
1,468view
地元の高校に上がった私は母子家庭のA子と親しくなりました。
A子はすらりとした美少女で性格も明るく、私たちはたちまち意気投合しお互いの家を行き来する仲になりました。
A子はマンションに住んでおりお母さんの帰りはほぼ毎日遅い為、コイバナで盛り上がるには好都合でした。
ある時、棚の上に飾ってるテディベアが目にとまりました。
「わ~かわいい!どうしたの?」
「離婚したお父さんからの誕生日プレゼント。自分の代わりに部屋に飾ってほしいって」
「なんで離婚したんだっけ?」
「知らない、お母さんに聞いても教えてくれないんだもん。お父さんもこの子がお気に入りで、面会日のたびに持ってこさせるんだよ」
テディベアを棚に戻そうとした時、片目がチカッと反射しました。
違和感を感じてよく観察し、ぬいぐるみの右目に小型カメラが埋め込まれているのにぎょっとしました。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
その後帰宅したA子のお母さんに事情を話した所、彼女はサッと青ざめどこかに電話をかけていました。多分警察です。
A子はお父さんからのプレゼントだと言ってました。彼は娘の日常や着替えを盗撮し、面会日に何食わぬ顔で回収していたのです。
さらに気になるのはA子の両親の離婚の理由でした。
お母さんが頑なに口を噤んでいるのは、A子の父親に原因があるからではないでしょうか……。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。