思っていたのとは違った天国の入り口
投稿者:erix (4)
今から約2年前のこと。
そのころ国内ではじわりじわりとコロナウイルスの感染者が増え始めて、
企業もリモートを取り入れた働き方へ変わっていっていた頃でした。
その朝、私は自宅でのリモート勤務のため、次男を保育園へ送ろうと慌てていました。
少し機嫌の悪い子供を自転車の前に乗せて、
通いなれたいつもの道の交差点を飛び出した瞬間、一瞬世界が真っ白になって、
気づくと私は仰向けでどこかに倒れているようでした。
顔にわずかな風を感じて目を開けましたが体はどうにも重くて動かず、
首を後ろに反り返ると
そこには砂利と、その砂利の隙間から生えた草花が風に揺れる見たことのない、でもどこか懐かしい気のする
川辺の砂利道のような場所でした。
小さな紫の花のついた雑草といくつかの背丈の小さい草花。
なんだかとても穏やかな気持ちになって、しばらくぼーっと眺めていると
不意に年老いた女性が怒りながら誰かを責めているような声が聞こえてきました。
その瞬間、頭に突き抜けるような痛みを感じて私はもう一度目をぎゅっとつぶって再びそっと開けました。
そこは川辺ではなく黒いゴツゴツしたアスファルトの上で、
私は体中から血を流し、仰向けに交差点に倒れていました。
『おかあさん、すごい出血しているみたい、今救急車がくるから!諦めちゃだめよ!』
私は何人かの人に囲まれているようでした。
その後、救急車で運ばれそのまま入院することになったものの、
治療やリハビリを経て、幸い2か月で退院することができました。
あの時のあの場所、今もどこだったんだろうとたまに思い出しては考えています。
私が想像していた『天国』とはあまりにイメージのかけ離れた
『すぐそこ』にあるような風景…..。
でもあそこが本当の天国の入り口なのかもしれません。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。