深夜の0番線
投稿者:erix (4)
私が短大生だった頃、学生寮に入っていたため、電車などの公共交通機関を頻繁に利用していました。
普段は友達などと一緒に遊びに行く目的で利用することが多いため、一人で電車に乗るということは当時ほとんど経験がありませんでした。
しかし、その日は内定先の会社の親睦会に参加するため、朝早くに家を出て電車で内定先の会社へ一人向かったのです。
親睦会といっても、会社の忘年会に参加するといった内容でしたので帰りが遅く、帰りは終電ギリギリの電車で帰宅することに。終電間際の電車内は人がまばらで、しかも田舎のため尚のこと閑散としていました。
最初は少しその独特な雰囲気に怯んでいたのですが、就活の疲れもあり、船を漕ぎながら電車に揺られていました。
目が覚めた頃には車内に私一人しか乗車しておらず、あと数分で降車駅へたどり着くといった時間です。
私の降りる駅は終点ではなかったため、急いで身支度を整えて降りる準備をしていると、ふと外の景色が気になりだしたのです。深夜のため真っ暗闇ではありましたが、踏切の反射する光などでわずかに外が見え、そっと覗いてみると見覚えのない景色。
夜だから違うふうに見えるのかな、などとぼんやり思っていると、私の降りる駅へ到着したため下車をします。
するとそこには、「〇〇駅」(寮の最寄り駅)とたしかに表示があるのですが、いつも降りるホームと様子が違います。おかしいな、と思って周りを見渡してみると、上の方に「0番線」と掠れた文字で書かれていました。
そのあとどのようにして寮まで戻ったのか記憶が曖昧なのですが、後で調べたところ〇〇駅の0番線というホームはたしかに存在していて、現在は使われていないホームだということでした。
何故そんなホームに下車したのか、降りたあとの記憶が何故曖昧なのか、今でもそれは謎のままです。
きさらぎ駅っぽくて面白い!