祖母の指輪はどこに……
投稿者:繭 (42)
短編
2022/01/29
23:37
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私の母は祖母と仲が悪くよく喧嘩をしていました。
しかし祖母が認知症で寝たきりになってからはよく介護し、表面上は上手くやっているように見えました。
先月祖母が死去した折も近所の人たちが葬式に集まり、母を労ってくれました。
「ご愁傷様。お義母さん物盗られ妄想が酷かったでしょ?」
「K美さんよく耐えたわよ」
「生前はお前が指輪が盗んだんだろって泥棒扱いされてたもんね。それでも怒らず大したものよ」
そうだったのか……。
離れて暮らしてる娘の私には愚痴を漏らしませんでしたが、母と祖母の間の確執は解決されてなどいなかったのです。
夜、棺で寝ている祖母に最後のお別れをしようと仏間も赴けばカタンと物音が立ちました。
なんだろうと振り向くと、下半身が透けた祖母がぼんやり立ち尽くしています。
生まれて初めて幽霊を目の当たりにした私はびっくりし、反射的に聞き返していました。
「どうしたのおばあちゃん」
「うちに泥棒がいるよ」
祖母が指さす方には母の寝室がありました。死んでからもまだそんな事を……さすがにあきれたものの、一抹の不安を拭えずこっそり忍び込み、母の鏡台を調べました。
一番上の引き出しから祖母の指輪が出てきました。祖母の霊が告発した通り、母は泥棒だったのです。
私は直接母を責めることはせず、祖母の棺に指輪をおさめて手を合わせました。
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おばあちゃんがお母さんのせいにしようとして、自分で入れた可能性もあるんじゃない?
↑そんなことありますかね