壁の黒いシミと白い靄のような何か
投稿者:まりんまりん (3)
寝る前は確かにいなかった、明らかに生きている存在ではないそれに私は一気に喉が引きつりました。
幽霊なんて見たことがなかったですし、そこまで信じてもいませんでしたから。
でも目の前に確かに見えているそれは幽霊しかありえなくて、私自身も金縛りに遭っている。
当時中学生だった私には処理しきれないほどの情報量。
もうパニックがパニックを呼ぶような状態で、私は必死に叫びました。
「あんた何なのよ!出ていけ!!」
少し前まで喉が引きつって声が出ない状態だったためか、懸命に叫んだつもりの言葉はか細いもので。
それでも全く声が出せなかった状態だったはずなのにかろうじて出せた言葉は、白い靄にも届いたようで、私の言葉とともに白い靄は消えていきました。
同時に全身を襲っていた金縛りは解けて、私はその勢いでバっと体を起こしました。
慌ててベッドから降りて周囲を確認しましたが、白い靄はおろか、なにも見当たらなかったです。
こっそり隣の兄の部屋をのぞき込みましたが、兄は暢気に眠り続けていました。
気のせいだったのだろうか。
ほっと一息をついて部屋に戻ろうとしたその時、私の目に飛び込んできたのは壁の黒いシミ。
真夜中で薄暗いその空間でもはっきり見える禍々しい黒にゾッとするものを感じた私は、部屋に戻るのが怖かったこともあって1階の両親の部屋に駆け込みました。
急にたたき起こされて困惑する両親を無視し、そのまま私は両親とともに夜を明かすことにしたのです。
そんな出来事がありましたが、それ以降は不思議な体験をすることはありませんでした。
私以外が幽霊に遭遇するようなことはありませんでしたし、結局4年間その社宅を利用した後は私たちは引っ越し、翌年には社宅も解体されてしまいました。
あの金縛りと幽霊は何だったのか、階段で感じた寒気は何だったのか、あの壁の黒いシミはただのシミだったのか。何もわからずじまいです。
ただ、最近オカルト系の話題で「霊道」と呼ばれるものを知りました。
文字通り霊の通り道となるそれは、周囲に霊現象を引き起こすことが多々あるそうです。
もしかしたらあの社宅の階段と黒いシミは霊道になっていて、波長が合ってしまった私がたまたま霊現象に遭遇してしまったということなのでしょうか。
母が言うには、母方の家系は霊感が強い人が生まれることがあるそうで、実際に私の祖母や叔母は霊感が強いとのこと。
だから兄や父ではなく、私や母が霊道の気配を感じ取ったり波長が合ってしまったのではないか、とのことでした。
実際にあの階段やシミを気持ち悪く感じていたのは私と母だけでしたから。
とはいえ、もうあの社宅がなくなってしまった以上、これらの内容を証明することはできません。
ただそれ以降も、それらしい場所を通りかかると寒気を感じることがあるので、これ以上奇妙な体験をするのは勘弁したいところです。
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