友人が行方不明の弟を霊能者に見てもらった話

友人から弟が行方不明になったと相談を受けた私は、近所で評判の霊能者の方を紹介しました。もちろん地元の警察にも捜索願いを出していましたが警察は事件性がないと言って動いてくれません。紹介した霊能者は中年の女性で盲目の方で家出人の捜索などが得意な方でした。友人はその方と約40分くらい面談し部屋から出てきて私にその内容を話してくれました。

行方不明になっている弟は奥さんと男の子が一人いて、釣りが趣味のごく普通の40代のサラリーマン。仕事の接待でお得意様と会食をし、車で駅に送り届けてその後行方がわからなくなりました。その翌日は休日で子供と釣りに行く約束をしていました。プライベートでも借金などのトラブルはなく家出する原因が見当たらないと言うことでした。

盲目の霊能者は霊視と言う方法で、友人の弟の足取りを見たそうです。弟はその日、接待のお得意様を駅に送り届けて仕事を終え会社へ連絡を入れて家に直帰する報告をしたそうです。翌日は休みなので気が緩んだのか、一杯飲んで帰ろうと思い帰宅途中にある居酒屋に立ち寄りました。もちろん車ですので飲酒運転になります。

居酒屋で１時間ぐらいお酒を飲んで少し酔いを覚まそうと止めていた車の中で仮眠をしたそうです。そして目が覚めたらもう真夜中近くになっていました。慌てた彼は急いで家に帰ろうと車を発進させて時、何かにぶつかる感触があって車を降りてみたら高齢の女性が車の下敷きになっていたのです。

事故を起こしてしまった彼はパニックになり警察と救急に連絡することなく、その場から逃げたそうです。つまりひき逃げをしたわけです。これは大変なことで彼は今も逃げていると言うことになるので友人は慌てて警察に連絡しますと言うと、その霊能者は、「待ってください。彼が引いたのは人間ではありません」と言ったのです。「えっ？人間じゃない？」と友人。「そうです、夜叉です」

夜叉とは妖術を使う邪気や動物霊のことで、霊能者が言うには「多分、キツネかタヌキのタチの悪い霊」なのだそうです。友人の弟は夜叉に術をかけられて人間を轢いてしまったと思い込まされ、今現在も逃げ続けていると言うことでした。友人はにわかには信じられないけど、事故を起こしていないのならそれに越したことはない、弟は人を轢き殺したと思いながら一生逃げ続けるのはあまりにも可哀想だと、なんとかならないかと霊能者に詰め寄ったそうです。

霊能者が言うには、「酒を飲んでよっている状態は魔が入りやすくなっているので、彼は夜叉にとりつかれ惑わされた。自分を反省して真っ当に裁きを受けようと心を入れ替えれば、その事故はなかったと言うことが分かって裁かれることもない。自分次第です」とのこと。友人は警察に問い合わせて、弟が事故をしたであろう日にひき逃げがあったかどうか調べたところ、その日のその場所ではひき逃げにあった人はいなかった。　

霊能者の言ったことが正しければ弟はやはり夜叉にたぶらかされたのかもしれません。お酒を飲んで酔いを覚ますため車中で仮眠する人は多いと思いますが、地縛霊や動物霊に憑依されやすいので気をつけた方が良いと思います。そしてあれから3年経っていますが友人の弟は未だ行方不明です。